木村友祐

木村友祐

木村 友祐（きむら ゆうすけ）は、1970年9月18日にこの世に生を受けた、日本の小説家です。彼の兄はオブジェ作家として活動する木村勝一氏です。

経歴

生まれ故郷は青森県八戸市。教育は青森県立八戸北高等学校を経て、日本大学藝術学部文芸学科で学びました。

文学の世界での活動は、2009年（平成21年）に発表した『海猫ツリーハウス』が、第33回すばる文学賞を受賞したことから本格的に始まります。その後も精力的に作品を発表し、2012年（平成24年）には『イサの氾濫』が第25回三島由紀夫賞の候補作に選ばれました。2013年（平成25年）には、管啓次郎氏、小野正嗣氏、温又柔氏といった他の作家たちと共に、高山明氏が演出を手がける演劇プロジェクト「東京ヘテロトピア」に参加。このプロジェクトでは、東京に暮らすアジア系の人々の物語を執筆するという試みを行いました。2014年（平成26年）には『聖地Cs』が第36回野間文芸新人賞の候補となり、さらに2016年（平成28年）には一度三島賞候補となった『イサの氾濫』が、再び第38回野間文芸新人賞の候補に挙げられるなど、主要な文学賞の選考対象となる機会が増えました。そして2020年（令和2年）には、『幼な子の聖戦』が第162回芥川龍之介賞の候補作となり、その存在感を確固たるものとしました。

作風と人物

木村氏の作品の多くは、自身の故郷である八戸市をはじめとする東北地方を舞台としています。また、作品の大きな特徴として、その土地ならではの言葉である南部弁を積極的に用いた独特の文体が挙げられます。これにより、登場人物たちの息遣いや地域の雰囲気が色濃く表現されています。

作家としての活動の中で、注目を集めたエピソードの一つに、第161回芥川賞候補作であった古市憲寿氏の小説『百の夜は跳ねて』に関する出来事があります。この作品の参考文献として木村氏の単行本未収録作「天空の絵描きたち」（当時は未収録、後に集英社文庫『幼な子の聖戦』に収録）が挙げられていたことから、インターネット上では、古市氏が木村氏の世にあまり知られていない佳作を拾い上げて翻案したのではないか、といった憶測や批判的な見方が一時的に広がりました。しかし、木村氏自身はこの憶測を明確に否定しています。彼は、古市氏からの取材依頼に応じ、同じ人物に取材を行った結果として、内容に共通する部分が生じたものであると経緯を説明し、一連の誤解を解消しました。

著作

以下に、木村友祐氏の主な著作をリストアップします。

『海猫ツリーハウス』（2010年、集英社、ISBN 978-4087713336）
『聖地Cs』（2014年、新潮社、ISBN 978-4103361312）
『イサの氾濫』（2016年、未來社、ISBN 978-4624601195）
『野良ビトたちの燃え上がる肖像』（2016年11月、新潮社、ISBN 978-4103361329）
『幸福な水夫』（2017年12月、未來社 ISBN 978-4624601218）
『幼な子の聖戦』（2020年1月、集英社 ISBN 978-4-08-771709-9）

単行本未収録作

「おかもんめら」（「すばる」2011年2月号掲載）
「ひのもとのまのなか」（「すばる」2014年2月号掲載）

木村友祐氏は、X（旧Twitter）にて情報を発信しています。

* 木村友祐 (@kimuneill) - X（旧Twitter）

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