木村庄之助 (32代)

32代木村庄之助について

木村庄之助は、本名を澤田郁也といい、1941年2月13日に北海道網走市で生まれた大相撲の立行司です。彼の在位期間は2006年の1月から2月にかけての僅か1場所であり、行司の中でも特に短い在位として記録されています。しかし、その背後には彼の長い相撲人生があり、そこには多くのエピソードや経験が詰まっています。

来歴

庄之助は、22代木村庄之助である名行司に入門し、道場で精進しました。彼の兄弟子には28代木村庄之助が、同期生には30代庄之助、31代庄之助、そして33代庄之助がいます。このように、庄之助は相撲界において名門の一翼を担っていました。1955年5月、木村郁也の名で初土俵を踏み、1972年3月には木村咸喬と改名しました。さらに、彼は1973年1月に十両に昇格し、1988年には幕内、1999年には三役に昇進します。

2003年5月には立行司に昇格し、33代式守伊之助を襲名。その後、2006年1月に32代木村庄之助を名乗ることになりましたが、3月場所前に停年を迎えたため、庄之助としての在位は1場所のみという特異なケースとなりました。彼の最後の裁きは、2006年2月5日に行われた日本大相撲トーナメントで横綱朝青龍と大関栃東の一番でした。こうした背景から、彼は行司停年制実施以降、最短記録を持つことになりました。

実力と評価

庄之助は、事務能力にも優れ、兄弟子の28代庄之助から高く評価されていました。彼は特に相撲字の書き方に秀でており、過去の行司の中でもその腕前はトップクラスとされています。また、場内アナウンスなど、様々な面でもその実力が認められています。彼は、相撲界での多くの重要な場面で裁きを担当し、ファンや関係者から広く愛される存在でした。

特別な思い出

庄之助は、入門が短い同期の30代庄之助が「泉の親方」の最後の弟子であることも注目点です。1984年の5月場所では、高見山大五郎と玉龍大蔵戦という注目の一番を裁いたこともありました。彼の三役昇格は、立行司29代伊之助が負傷した影響もあり、相撲協会が昇格を認めるという特例的なものでした。2000年9月場所では、闘牙進対小城錦の戦いにおいて、誤って取り直しにするという珍しい失敗も経験しています。これは彼の裁きに対するプレッシャーや緊張を物語るエピソードの一つです。

最後の場所

庄之助は、最終場所において、自らが優勝決定戦を裁くことを望んでいたものの、最終的には34代伊之助にその役を譲ることを選びました。これは彼の義理堅さや後輩への配慮を示す一幕として語り継がれています。最終場所の一番では、横綱朝青龍が、31代庄之助と同様に感謝の意を示したことも印象的です。彼の停年退職の際は、相撲界全体から感謝の気持ちが集まったことが感じられます。

32代木村庄之助は、短いながらも充実した相撲人生を送り、多くの名勝負を通じて相撲界に貢献した偉大な存在でした。彼の功績は、後世の行司たちに語り継がれ、多くの人々に影響を与え続けることでしょう。

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