木田金次郎

木田金次郎の生涯と業績

木田金次郎（きだ きんじろう）、1893年7月16日生まれは、北海道岩内町に生まれた画家です。彼の名は、有島武郎の小説「生れ出づる悩み」のモデルとしても知られています。彼は自由な発想と奔放なスタイルで自然を描くことに情熱を注ぎ、特に地元の美しい風景を数多く表現しました。

初期の教育と活動

木田は岩内尋常高等小学校高等科を卒業後、上京して開成中学、京北中学に通いました。絵を描くことに興味を持ち始めたのは、京北中学時代からで、上野で開催される展覧会にも頻繁に足を運びました。1910年には学校を中退し、札幌市郊外で絵を描く日々を送りました。その後、札幌で開催された黒百合会の展覧会で有島武郎の絵に出会い、大きな感銘を受けました。この出会いがきっかけで、有島のもとを訪ね、彼との親交が始まりましたが、木田はその後故郷に帰り漁業に従事します。

画業への転身

1923年に有島が亡くなった後、木田は漁業から手を引き、専念して画業に邁進することを決意しました。1945年には、後志美術協会や全道美術協会の設立に関わるものの、自ら作品を出品することはありませんでした。しかし、戦後になってから彼の才能が評価され、1953年には札幌で初の個展が開催されました。

その後の1954年、洞爺丸台風による「岩内大火」で多くの作品が焼失し、金次郎にとっては大きな打撃となりました。しかし、彼はその後も創作を続け、画業に対する情熱を貫きました。1962年12月15日、脳出血により69歳で逝去。その墓所は岩内町の東山墓地にあります。

美術館の設立と偉業の顕彰

1994年に、木田金次郎美術館が岩内町にオープンしました。この美術館の設計は彼の長男、木田尚斌が手がけています。また、木田の命日である12月15日は「どんざ忌」と呼ばれ、1995年から同美術館で続けられている行事として、彼の偉業を称えるイベントが行われています。

さらに、2014年10月には日本たばこ産業（JT）によって、油彩作品『半農の漁村』（1956年頃制作）と『茶津の断崖』（1958年頃制作）の計2点が木田金次郎美術館に寄贈されています。

受賞歴

木田はその長い作家生活の中で幾つかの賞を受賞しました。特に1950年には岩内町文化賞、1954年には北海道文化賞、そして1957年には北海道新聞文化賞を受賞しており、その功績が広く認められました。

木田を支えた人物

木田の活動には多くの支援者がいました。例えば、島本融は北海道銀行初代頭取として彼を一貫して支援し続けました。また、八木義徳は木田をモデルにして小説『漁夫画家』を書き、上西晴治も木田を訪れたことをきっかけに八木に師事しました。

木田金次郎の作品や生涯は、今日でも多くの人々に愛され、感動を与え続けています。

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