木立じゅん

木立 じゅん

1946年7月9日、青森県に生まれた木立じゅんは、日本の音楽シーンにおいて異色の光を放つ歌手です。彼の名前を一躍世に知らしめたのは、1968年に発表したデビューシングル『484のブルース』でした。この楽曲は、テイチクレコードからのリリース後、大きな反響を呼び、その年の大ヒット曲となります。22歳での鮮烈なデビューでした。

代表曲『484のブルース』

『484のブルース』は、札幌刑務所を題材にしたその歌詞内容から、当時の社会情勢も相まって、高倉健が歌った『網走番外地』（1965年）と同様に「放送禁止歌」に指定されました。しかし、その生々しいリアリティとブルージーなメロディーは、一部の聴衆に強く支持され、かえって伝説的な楽曲としての地位を確立します。この曲は単なるヒットソングに留まらず、その後の木立じゅんの音楽活動におけるまさに「ライフワーク」と呼べる存在となりました。

デビュー後の活動と楽曲傾向

『484のブルース』の成功を受け、1968年中には彼のシングルが立て続けに発表されました。これらの楽曲の多くは、「任侠もの」と呼ばれる、アウトローの世界や義理人情を描いた内容でした。この傾向は、彼の初期のキャリアを特徴づけるものとなります。彼はまた、特定の楽曲において、一般的な音楽著作権管理団体であるJASRACに信託されていないケースが多いことも、その活動の特徴の一つとして挙げられます。

ディスコグラフィー

木立じゅんは、キャリアを通じて数多くのシングルやアルバムを発表しています。主要な作品の一部を以下に示します。

シングル

484のブルース（1968年、テイチクレコード SN-677）- 作詞・作曲：平田満、補詞：高月ことば、補曲：野崎眞一、編曲：山倉たかし
石狩吹雪（1969年2月、テイチクレコード）
遠賀川ブルース（1969年4月、テイチクレコード）- 作詞：谷口行春、補詞：高月ことば、作曲：野崎眞一
人生怨歌（1969年4月、テイチクレコード）- 作詞：大高ひさを、作曲不詳
赤い流れ雲（1969年8月、テイチクレコード）
484のプルース（1980年3月、テイチクレコード再発）- 同曲の再リリース版

※上記シングルのB面には、「無情の薔薇」「関東男ぶし」「佐世保の女」「綱走番外地」「玄海流れ雲」などが収録されています。また、1980年再発シングルのB面は三音英次の「釜ヶ崎人情」でした。

アルバム

人生怨歌（テイチクレコード SL-1266）
任侠 男の対決（テイチクレコード CF-30）- 内田良平とのカップリングアルバム

楽曲収録CD

484のブルース（1991年1月21日、シングルCD、テイチクエンタテインメント TEDA-15058）
484のブルース / 釜ヶ崎人情（2006年4月26日、マキシシングル、テイチクエンタテインメント TECA-1080）- 三音英次とのスプリット盤

これらの作品リストからは、彼の活動が任侠歌謡やブルース色の強い楽曲を中心としていたことがうかがえます。特に『484のブルース』は、時代を超えて幾度か再リリースされており、その根強い人気を示しています。

彼の音楽活動に際しては、作詞家の平田満や高月ことば、作曲家の野崎眞一といった、その道の専門家たちが楽曲制作に携わりました。また、アルバムでは俳優の内田良平との共演もあり、多岐にわたる人脈の中で活動していたことがわかります。

木立じゅんは、『484のブルース』という不朽の名曲を通じて、日本の歌謡史にその名を刻んでいます。放送禁止というレッテルを貼られながらも、多くの人々に強い印象を与えたその楽曲は、彼のアーティストとしての姿勢そのものを物語っていると言えるでしょう。

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