末木剛博

末木剛博（1921年9月10日 - 2007年12月1日）は、日本の哲学者、論理学者、比較思想研究者であり、東京大学教養学部の名誉教授でした。戦後間もない時期に現代論理学（記号論理学）の研究をいち早く開始した人物として知られています。

経歴

1921年、山梨県甲府市に生まれました。旧制甲府中学、第一高等学校を経て、1945年に東京帝国大学哲学科を卒業。大学卒業後は、東京帝国大学の副手、電気通信大学の助教授を経て、1954年より東京大学教養学部の助教授となりました。その後、教授に昇進。東京大学在職中には、学生と共に参禅を行う東京大学陵禪会の顧問を務めていました。哲学者である野矢茂樹は、この陵禪会での繋がりから、末木を師の一人としています。1982年に東京大学を定年退官し、名誉教授となりました。退官後も東洋大学文学部の教授として教鞭を執りました。

受賞・栄典

1997年春には、長年の教育・研究活動が評価され、勲三等旭日中綬章を受勲しました。

研究内容・業績

末木剛博は、ヴィトゲンシュタインの基礎的研究で広く知られています。専門分野は、論理学、分析哲学、比較思想と多岐にわたり、東洋の禅宗も研究対象としていました。東京大学退官後は、大著『西田幾多郎』を刊行し、その哲学体系を詳細に分析しました。また、丈比呂という名で短歌を詠む歌人としての顔も持ち、歌集も出版しています。さらに、茶人としても知られ、裏千家から宗博の茶名を授与されています。

家族・親族

息子である末木文美士は仏教学者で、東京大学名誉教授を務めています。もう一人の息子、末木恭彦は中国哲学者であり、駒澤大学の教授を務めています。

著書

『ウィトゲンシュタイン』有斐閣 1959
『記号論理学 その成立史の研究』東京大学出版会 1962
『論理学概論』東京大学出版会 1969
『東洋の合理思想』講談社現代新書 1970
『ウィトゲンシュタイン論理哲学論考の研究』1－2 公論社 1976-1977
『西田幾多郎 その哲学体系』全4巻 春秋社 1983-1988
『飲露亭口占集』近代文芸社 2003
『日本思想考究　論理と構造』春秋社 2015

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