本位銀貨

本位銀貨とは

本位銀貨とは、銀本位制を採用している貨幣制度において、その中心となる貨幣として鋳造・発行された銀貨のことです。補助貨幣とは異なり、銀貨に表示されている額面と実際の価値が一致している点が特徴です。また、自由な鋳造と溶解が認められており、無制限の通用力を持っていました。

日本における本位銀貨

日本では、明治時代に新貨条例に基づき発行された1円銀貨が本位銀貨にあたります。また、海外貿易専用の貿易銀も本位銀貨として扱われました。しかし、1897年に金本位制を基本とする貨幣法が施行されたことで、1円銀貨は国内での法定通貨としての効力を失い、本位銀貨としての役割を終えました。

世界における本位銀貨

日本以外にも、世界各国で本位銀貨が発行されていました。15世紀以降、スペインが中南米で鋳造した8レアル銀貨は、当時の国際通貨として広く流通しました。その他、オーストリアのマリアテレジアの1ターラー銀貨、アメリカの1ドル銀貨、フランスの5フラン銀貨などが有名です。

ただし、アメリカでは1873年以降に金本位制へ移行したため、1ドル銀貨は1878年以降、無制限通用力は維持されたものの、自由鋳造が認められなくなりました。政府が市場価格で銀地金を購入し、造幣局に納入して銀貨に鋳造する方法に変わったため、本位貨幣ではなくなりました。

貿易銀

日本、イギリス、アメリカなどでは、海外貿易専用の貿易銀も鋳造されていました。これらの貿易銀は、スペインの8レアル銀貨を模倣したものが多く、量目は約420グレーン、品位は.900、直径は約38ミリメートルという大型の銀貨でした。本位金貨は様々なサイズで鋳造されましたが、本位銀貨はほぼこのサイズに限定されていました。

本位銀貨の終焉

各国が金本位制へと移行するにつれて、これらの大型本位銀貨は1930年頃までに姿を消していきました。

まとめ

本位銀貨は、銀本位制における重要な役割を担っていました。その歴史は、各国の通貨制度や経済状況を理解する上で欠かせない要素です。国際通貨として流通した銀貨も存在し、各国の経済に大きな影響を与えたことがわかります。

脚注

グレーン：質量の単位。1グレーンは約0.0648グラム。
品位：貴金属の純度を表す単位。.
900は90%が純銀であることを示す。

関連項目

貨幣史 - 日本の貨幣史
銀貨 - 日本の銀貨
* 銀本位制 - 本位貨幣

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