本別駅

かつて北海道中川郡本別町に位置していた本別駅（ほんべつえき）は、北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線の駅として、地域交通の要衝を担いました。その歴史は古く、国鉄、JR北海道を経て第三セクター化された路線の一部でした。国鉄・JR北海道時代の電報略号はホヘ、事務管理コードは▲110504でした。

歴史

本別駅の歴史は、1910年 9月22日に鉄道院網走線の池田駅から淕別駅（現在の陸別駅）までの区間が開業した際に始まります。当初は「ぽんべつえき」という読みの一般駅として開業しました。その後、路線の名称が変更され、1912年 11月18日には池田・網走間が網走本線となります。大正時代には、地域の産業と深く結びつき、1914年には王子製紙が利別川沿いに流送木材の陸揚げ場（土場）を設け、本線から分岐する約1500メートルもの専用線が敷設されました。さらに1916年には富士製紙も駅裏に貯木場を設け、専用線（敷設時期不明、約300メートル）を敷設するなど、木材輸送の拠点としての機能も有していました。

戦後、1949年 6月1日には公共企業体である日本国有鉄道に移管されますが、木材流送は1950年には王子製紙で廃止されるなど、輸送形態の変化も見られました。路線の呼称は1961年 4月1日に池北線となり、同月20日には駅名の読みが現在の「ほんべつ」に改められています。時代が進むにつれて、貨物取扱いは1982年9月10日に、荷物取扱いは1984年 2月1日にそれぞれ廃止され、旅客駅としての性格が強まりました。

国鉄の分割民営化に伴い、1987年 4月1日には北海道旅客鉄道（JR北海道）に継承されますが、1989年 6月4日には北海道ちほく高原鉄道に移管され、ふるさと銀河線の一部となります。転換後の大きな変化として、1991年 9月11日には本別町コミュニティセンターとの複合施設として、新しい駅舎「ステラプラザ」がオープンしました。しかし、時代の流れには逆らえず、ふるさと銀河線の廃止に伴い、2006年 4月21日に本別駅もその歴史に幕を下ろしました。廃止後、旧駅舎の一部は十勝バスの本別案内所として活用されました。

駅名の由来

駅名は所在地の地名（村名から町名へ）に由来します。特筆すべきは、開業当初の読みが「ぽんべつ」であったものが、後に「ほんべつ」へと変更された点です。

駅構造とかつての機能

廃止時点の本別駅は、2面3線のホームを持つ地上駅でした。ただし、廃止直前は3番のりばは使用されていませんでした。当時は社員が配置されており（土日祝休業が基本でしたが、廃止前約1ヶ月間は営業）、駅長1名が常駐するほか、必要に応じて足寄駅から応援が来る体制でした。駅窓口では、ふるさと銀河線の乗車券だけでなく、JR北海道管内の乗車券、特急券、指定券も取り扱い、JR北海道の旅行商品「ツインクル」の取次ぎも行うなど、広範なサービスを提供していました。駅舎は「本別町コミュニティーセンターステラプラザ」と一体となっており、建物内には銀河線本別駅内簡易郵便局も入居していました。

ステラプラザ：星と銀河のコミュニティ空間

本別駅の象徴とも言える「ステラプラザ」は、1991年に駅舎建て替え計画と並行して本別町が主導して建設した複合施設です。その名はイタリア語で「星」を意味する「ステラ」に由来し、「星の広場」として名付けられました。環境設計が建築設計を、キタバ・ランドスケープがランドスケープ設計を担当し、単なる駅施設に留まらない、地域に開かれた空間を目指しました。設計思想の根底には、まちのゆったりとした気風を反映し、訪れる人々はもちろん、町の人々が心地よく利用できる場を創出するという考えがありました。

敷地は南北に細長く、中央に駅舎を配置。北側には子どもたちが遊べる水の広場と芝生広場、南側には駐車場と駐輪場が設けられました。特に印象的なのは、駐車場と駅舎の間に設けられた「銀河の散歩道」です。この広場には、北斗七星をイメージして7本のハルニレの木が植えられており、散歩や憩いの場として利用されました。夜には舗装に埋め込まれた照明がこれらのハルニレを下から照らし出し、駅舎の屋根にある7つのトップライトの光と合わせて、夜空に瞬く星のような幻想的な光景を演出していました。水の広場は、北海道の短い夏を楽しむことができるよう、水辺で気軽に遊べるスペースとして整備されました。駅舎自体も北斗七星をイメージしたデザインで、屋根には7つのトップライトがあり、コミュニティセンターやレストランが併設されるなど、地域の拠点機能を担っていました。

駅周辺と現在の姿

かつて本別駅は本別町の中心駅であり、周辺には町役場、警察署、郵便局、農業協同組合、金融機関、学校、商業施設などが集積し、町の機能が整っていました。鉄道廃止後の駅舎は改修工事を経て、2009年 4月26日に「道の駅ステラ★ほんべつ」として新たなスタートを切りました。旧駅事務室はNPO法人銀河ほんべつ事務所となり、十勝バスの本別案内所として窓口業務を担っています。また、駅構内にあった跨線橋も改修され、鉄道記念館として活用されています。鉄道記念館に合わせて、かつて線路があった場所には28メートルだけ線路が復元されましたが、その他の線路敷は全て埋め立てられ、ホームとの段差も解消されています。ホーム側の施設の大半は道の駅整備に伴い撤去され、現在残されているのは跨線橋、駅名標、そして復元された一部の線路程度で、その多くは駐車場として利用されています。駅周辺には北海道道499号・658号・770号の停車場線や国道242号が通り、現在も十勝バスや網走観光交通のバス停留所が設置されています。

かつての隣の駅

北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線における本別駅の隣駅は以下の通りでした。

岡女堂駅 - 本別駅 - 仙美里駅

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