本多忠良

本多忠良：幕府の要職を歴任した大名の一生

本多忠良は、江戸時代中期に活躍した大名です。側用人、老中という要職を歴任し、越後村上藩、三河刈谷藩、そして下総古河藩と、複数の藩を治めた人物として知られています。その生涯は、まさに波瀾万丈と言えるでしょう。

出身と家督相続

本多忠良は、本多平八郎家の分家筋にあたる播磨国山崎藩主・本多忠英の長男として誕生しました。1709年（宝永6年）、15万石を領した本家当主・本多忠孝が12歳で後継ぎを残さず死去するという事態が発生します。このため、本来であれば断絶となるはずの本多平八郎家を存続させるため、幕命により、分家筋である忠良が家督を相続することとなりました。しかし、急な養子相続であったことから、忠良はまもなく10万石減封の上で、越後村上藩から三河刈谷藩へと転封を命じられます。

幕府での活躍

1710年（宝永7年）、忠良は6代将軍・徳川家宣から側用人に抜擢され、翌年には侍従に叙任、その地位は老中に次ぐと定められました。その後、1712年（正徳2年）には、5万石の領地を維持したまま、三河刈谷藩から下総古河藩へと転封となります。

7代将軍・徳川家継の死去後、1716年（享保元年）、8代将軍に就任した徳川吉宗により、側用人は解職され、帝鑑間席に戻ることとなりました。しかし、忠良は本多平八郎家の嫡流であると認められ、5万石の領地ながら、10万石の格式を与えられるという異例の待遇を受けます。

1734年（享保19年）、忠良は西の丸老中となり、翌年には本丸老中へと昇進、再び国政の中枢に復帰します。そして、1746年（延享3年）に老中職を退き、1751年（宝暦元年）、古河藩主の地位にあったまま62歳で生涯を閉じました。

年譜

1694年（元禄3年）：誕生
1709年（宝永6年）：本多平八郎家相続
1710年（宝永7年）：従四位下・中務大輔に叙任、側用人に任命、三河刈谷藩に転封
1711年（正徳元年）：侍従に叙任、席次は老中に次ぐと定められる
1712年（正徳2年）：下総古河藩に転封
1716年（享保元年）：側用人を免ぜられ、帝鑑間席に戻る
1734年（享保19年）：西の丸老中
1735年（享保20年）：本丸老中
1746年（延享3年）：老中を退く
1751年（宝暦元年）：6月1日死去。享年62

系譜

実父: 本多忠英
実母: 錦織八郎太夫の娘（側室）
養父: 本多忠孝
正室: 勝（本多政利の娘）
* 子女: 本多忠敞（長男）、本多忠亮（三男）、本多忠寛（五男）、水野忠辰正室など

まとめ

本多忠良は、複雑な家督相続を経て、幕府の要職を歴任し、複数の藩を治めた、大変興味深い人物です。彼の生涯は、江戸時代中期における政治情勢や大名家の動向を知る上で、貴重な資料となります。 様々な困難を乗り越え、幕府の重臣として活躍した彼の功績は、後世に語り継がれるべきでしょう。

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