本庄信明

本庄信明と東本庄館の歴史

本庄信明（ほんじょう のぶあき、生年不詳 - 延徳2年（1490年））は、室町時代中期に活動した武将で、武蔵国児玉郡北堀に東本庄館を築いた人物です。埼玉県本庄市北堀にあたる現在の地にあたるこの館は、信明が初代館主としてその基礎を築いたものであり、彼の名を歴史に刻む重要な拠点となりました。信明は官途名として宮内少輔を持ち、その戒名は開基本庄宮内少輔安養院殿瑞室和光大居士です。

家系と出自

信明は児玉党本宗家の5代目、庄太郎家長の四男であり、本庄四郎左衛門尉時家の末裔とされています。ただし、詳しい系譜は現在のところ不明ですが、信明が栗崎と北堀を継いだことから、時家の子孫である可能性が高いとされています。また、信明の子息には本庄為明がいます。

東本庄館の築造背景

信明は北堀、栗崎、東富田、五十子、本庄、傍示堂を所領し、関東管領・山内上杉家に属していました。彼は古河公方（足利家）と対立し、五十子陣の防衛を目的として小山川西岸の北堀に東本庄館を構えました。この予定は、五十子の戦いを経験した信明自身にとって重要な戦略の一環として機能しました。

後に、本庄実忠が弘治2年（1556年）に本庄城を築くまでは、この館が本庄氏の拠点として機能しました。東本庄館の築造は、五十子陣が1457年に築かれた後の時期に行われたとされ、15世紀中頃から16世紀中頃までにかけてその役割を果たしました。また、信明は館の守護神として稲荷神社を勧請しています。

安養院の設立

本庄信明によって設立された安養院は、信明の兄である本庄藤太郎行重（雪茂）が入道する際に名付けた「伊安」の名を持つ寺院です。最初は領内の富田村に「安養庵」と称して庵室を設けていましたが、文明7年（1475年）には上州沼田の奥迦葉山龍華院の3世玉岑慶珠を招いて改称し、現在の場所に移転しました。この寺院は後に徳川家光から25石の朱印地を与えられ、本庄市指定の文化財となりました。安養院本堂は現在でも「本庄最大の木造建築物」と言われ、その存在感を放っています。

本庄氏の歴史と背景

本庄信明以前の本庄氏一族に関する文献は少なく、資料が限られていることから、その正確な歴史を把握することは難しいです。15世紀初頭には、上杉氏憲に味方して上杉禅秀の乱に参加し、敗北を喫したことが知られています。この結果、彼らは所領を没収されることになります。

本庄氏は応永25年（1418年）に阿久原を押領するなど、足利氏の支配に抵抗を試みた経緯があります。こうした歴史的背景があり、本庄氏は南朝に味方したことで、党の弱体化から脱却しようとしたと考えられています。

信明以前の本庄氏については、系図に様々な不明点が多いため、その解明が待たれますが、本庄行重を信明の兄とみなすと、「行」が通し字であった可能性が生じてきます。系図の中には、信明の弟に朝茂や元清が記載されているなど、複雑な関係が見て取れます。

結論

本庄信明は、室町時代の武将として、自らの領地に重要な拠点を築いた歴史的人物です。その家系と業績は、後世にわたって関心を持たれる対象となっています。東本庄館や安養院の設立は、彼の戦略と信仰心を反映した結果であり、今後も歴史的意義が語られていくことでしょう。

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