本野盛亨

本野盛亨（もとの もりみち）

本野盛亨は、天保7年（1836年）に肥前国佐賀藩に生まれ、明治42年（1909年）に没した日本の官僚、実業家であり、読売新聞の創業者の一人として知られています。旧姓は八田、通称は周蔵または周造。

生涯

佐賀藩士である八田晋の子として生まれた本野盛亨は、後に本野権太夫の婿養子となります。佐賀有田で谷口藍田に師事し、藍田塾での繋がりから大阪へ出て、緒方洪庵の適塾で蘭学を修めました。さらに長崎の致遠館では、フルベッキから英語などを学んでいます。

明治維新後の1868年（明治元年）には、神奈川県大参事（裁判所）に就任し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。1870年（明治3年）には、日本初の活版印刷会社である「日就社」を横浜で子安峻、柴田昌吉とともに創立し、日本の印刷技術の発展に貢献しました。

1872年（明治5年）には、駐英公使館1等書記官として渡英し、欧米の文化や制度を学びました。帰国後は大蔵省に勤務し、横浜税関長を務めるなど、財政面でも手腕を発揮しました。

1874年（明治7年）には、日就社のメンバーと共に読売新聞社を創業し、ジャーナリズムの世界にも足を踏み入れました。読売新聞は、創刊当初から庶民に寄り添う記事を掲載し、多くの読者を獲得しました。

1882年（明治15年）には、大阪控訴裁判所検事に就任し、司法の分野でも活躍しました（明治20年まで）。1889年（明治22年）には、子安峻の後を継ぎ、2代目読売新聞社社長に就任し、経営者として読売新聞の発展に尽力しました。

親族

本野盛亨の親族には、多くの著名人がいます。父の八田晋は佐賀藩士であり、妻の總子の父親である本野権太夫も佐賀藩藩士でした。長女の富士子は侍医も務めた岩佐新の妻となり、長男の本野一郎は後に外務大臣を務めました。次男の本野英吉郎は4代目読売新聞社社長となり、三男の本野亨は京都帝国大学教授、四男の本野精吾は建築家で京都工芸繊維大学教授を務めました。また、3代目読売新聞社社長の高柳豊三郎は甥にあたります。

本野盛亨は、激動の時代において、官僚、実業家、ジャーナリストとして多岐にわたる分野で活躍し、日本の近代化に大きく貢献しました。彼の功績は、今日においても高く評価されています。

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