本願寺広島別院

本願寺広島別院

本願寺広島別院は、広島県広島市中区寺町に位置する浄土真宗本願寺派の寺院です。この寺院は、旧安芸国における安芸門徒と呼ばれる浄土真宗門徒の活動の中心として、重要な役割を果たしてきました。

沿革

本願寺広島別院の起源は、長禄3年（1459年）に安芸武田氏によって武田山の麓（現在の広島県立祇園北高等学校付近）に建立された龍原山仏護寺に遡ります。当初、この寺院は安芸武田氏の影響下にあり、初代住職である正信も安芸武田氏の一門でした。建立当初は天台宗の寺院でしたが、第2世住職である円誓が本願寺の蓮如に帰依し、明応5年（1496年）に浄土真宗へと改宗しました。

当時の安芸国は戦乱の時代であり、安芸武田氏はその波に翻弄されました。第3世住職である超順の時代、天文10年（1541年）に安芸武田氏は大内氏と毛利氏によって滅ぼされました。仏護寺は堂宇を焼失するなど大きな被害を受けましたが、毛利元就の庇護を受け、石山合戦では毛利軍の一員として畿内に出兵しました。

豊臣秀吉の時代になると、毛利輝元は広島城の築城に着手しました。それに伴う町割によって、天正18年（1590年）に仏護寺は広島小河内（現在の広島市西区打越町）に移転しました。慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いで毛利氏が広島を去った後、領主となった福島正則によって、慶長14年（1609年）に現在の寺町へと移転させられました。

福島正則の後、広島は浅野氏の支配下に入り、仏護寺は明治維新まで浅野氏の庇護を受けました。しかし、明治維新後の廃藩置県によって浅野氏からの支援が途絶え、寺の維持運営に支障をきたすようになりました。そのため、紀州浅野家を介して本願寺の別院となることを願い出て、明治以降、安芸における本願寺の別院となりました。

天保の飢饉の際には、山県郡などから困窮した多数の農民が広島城下へ流入しました。天保8年（1834年）1月、藩は仏護寺を拠点として農民らを集め、食事を施し路銀を与えて帰村させました。

明治9年（1876年）から約2年間、仮の広島県庁舎がここに置かれました。また、明治27年（1894年）には日清戦争により大本営が設けられ臨時首都となった広島市で第7回帝国議会を開催することとなり、仏護寺での開催も検討されましたが、手狭であったため別の場所に広島臨時仮議事堂が建てられることとなりました。

明治35年（1902年）11月には、広島別院仏護寺と改称し、その6年後の明治41年（1908年）4月に、現在の本願寺広島別院という名称になりました。

太平洋戦争末期の昭和20年（1945年）8月6日、広島市に原子爆弾が投下され、爆心地からわずか1km足らずの場所に位置していた広島別院は廃墟と化しました。しかし、戦後の昭和39年（1964年）10月に本堂が再建され、平成6年（1994年）には本堂を中心に大規模な修復工事が行われました。

広島別院と安芸教区

浄土真宗本願寺派では、全国を31の教区、533の組に分けていますが、広島別院が管理する広島県西部の地域は安芸教区と呼ばれ、25の組に分けられています。教区内には現在550ほどの寺院がありますが、門徒の減少や後継者不足などの問題を抱えています。

参考文献

中国新聞社刊「安芸門徒」 水原史雄著（1996年）
広島市史
祇園町史

関連項目

安芸門徒
崇徳高等学校
進徳女子高等学校

外部リンク

* 浄土真宗本願寺派広島別院・安芸教区 - 公式サイト

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