朱ソウ

朱樉（しゅ そう）は、明の初代皇帝である洪武帝の次男として、1356年に誕生しました。母は正妻の馬皇后であり、皇太子朱標とは同母兄弟にあたります。

生涯

朱樉は、1370年に秦王に封じられ、1378年には西安へと赴任しました。1389年には、宗室を管理する機関である大宗正院が宗人府と改められ、その長である宗人令に任じられました。しかし、1391年に過失を理由に首都の応天府へと呼び戻されることになります。この時、兄である皇太子朱標の取りなしによって罪を免れ、翌1392年には西安に帰還することができました。

1395年、朱樉は将軍の甯正らを率いて洮州へと遠征し、これを降伏させることに成功しました。この功績に洪武帝は喜びましたが、その年の3月に朱樉は亡くなりました。享年は40歳でした。死後、愍（びん）の諡号が贈られ、長男の朱尚炳が後を継ぎました。

朱樉の死因については、『明史』には何も記載されていません。しかし、『太祖皇帝欽録』には、朱樉が毒殺されたのではないかとする洪武帝の手簡が残されています。このことから、朱樉の死には謎が残されており、様々な憶測を呼んでいます。

家族

朱樉は、複数の妻と多くの子をもうけました。

正妻
王氏：元の河南王ココ・テムル（王保保）の妹。朱樉の死後に殉葬され、「愍烈」と諡されました。
鄧氏：鄧愈の娘。正妃王氏に嫉妬して自害したと伝えられています。

子
秦隠王 朱尚炳
永興懿簡王 朱尚烈
保安悼僖王 朱尚煜
興平恭靖王 朱尚烐
永寿懐簡王 朱尚灴
安定王 朱尚炌

朱樉は、明の初期における皇族の一人として、その生涯は波乱に満ちたものでした。宗人府の長としての役割を果たす一方で、自身の過失によって都に召還されたり、遠征で功績を上げたりと、その行動は多岐にわたります。そして、謎の死を遂げたことで、後世に様々な議論を呼ぶ人物となりました。

参考文献

張廷玉他 (1739) (中国語). 明史
(中国語) 列傳第四 諸王一. 巻116. (1739)
(中国語) 表第一　諸王世表一. 巻100. (1739)
姚広孝他 (1418) (中国語). 太祖実録. 巻4
『賽因赤答忽公墓志銘』
Chan, Hok-lam (2007). “Ming Taizu's Problem with His Sons: Prince Qin's Criminality and Early-Ming Politics”. Asia Major (Academia Sinica) 20 (1): 45-103.

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