甯正

甯正（ねい せい）

甯正は、生年不詳ながら1396年に没した、元末から明初にかけての軍人です。字は正卿といい、本貫は寿州にありました。彼は幼少時に韋徳成の養子となり、韋姓を名乗っていましたが、後に甯姓に戻っています。

生涯

元末、甯正は養父である韋徳成に従い、朱元璋に帰順し、長江を渡って明朝の創設に貢献しました。韋徳成が宣城で戦没すると、その遺志を継ぎ、彼の軍勢を引き継ぎました。数々の戦いで功績を重ね、鳳翔衛指揮副使に任じられます。徐達の北伐に従軍し、中原を平定、元の都である大都に入った際には、元の将士8000人あまりを降伏させるという大きな成果を上げました。

傅友徳が真定から定州にかけてを平定すると、甯正は真定の守備を任されました。その後も徐達らの西征に従い、陝西を攻略し、馮勝が臨洮を陥落させると、その地の守備を任されました。明軍が慶陽を包囲した際には、邠州に駐屯し、敵軍の援軍を遮断するという重要な役割を担いました。慶陽が陥落した後は臨洮に戻り、鄧愈の下で定西を破り、河州を攻略しました。

1370年、甯正は河州衛指揮使に任じられました。当時、西方に展開する軍への食糧輸送は大きな負担となっていたため、軍に茶や布を支給して現地で交易し、食糧に換えることで輸送の負担を軽減するという画期的な提案をし、洪武帝（朱元璋）の許可を得ました。河州赴任当初は、その城邑には人が少なかったものの、人を呼び集め、河州を発展させました。洪武帝は彼の尽力をねぎらい、甯姓に戻ることを許しました。これにより、甯正は領寧夏衛事を兼任することになりました。彼は漢代や唐代の古い用水路を修築し、黄河の水を引いて畑を灌漑し、数万頃もの屯田を開き、兵に食糧を自給自足させることに成功しました。1376年、北元の岐王桑哥朶児只班が西番諸衛から罕東に進攻してくると、甯正はこれを撃退しました。

1380年、甯正は沐英に従って北伐に参加し、北元の平章である脱火赤や知院の愛足を捕らえ、全寧四部を奪取しました。1382年には四川都指揮使に転じ、松州や茂州を平定。雲南が平定されると、馮誠とともに雲南を守るよう命じられました。1388年、麓川の思倫発が反乱を起こすと、甯正は摩沙勒寨でこれを撃破し、1500人を斬首するという大きな戦果を上げました。1389年、思倫発が定辺を包囲すると、沐英は兵を三隊に分け対処し、甯正はそのうちの左軍を率いて戦い、思倫発を破りました。その後、越州の少数民族の首長である阿資が反乱を起こした際には、沐英の下でこれを討ち降しました。

1392年に沐英が死去すると、甯正は正式に左都督に任じられ、沐英に代わって雲南に駐屯しました。1394年には平羌将軍となり、四川・陝西の兵を率いて階州・文州の反乱を鎮圧しました。1395年、秦王朱樉に従って洮州の少数民族の反乱を鎮圧し、南京に凱旋しました。しかし、翌1396年に甯正は死去しました。

脚注

参考文献
『明史』巻134 列伝第22

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