張廷玉

張廷玉：清朝三代に仕えた重臣

張廷玉（ちょう ていぎょく）は、1672年に生まれ、1755年に没した清朝の政治家です。字を衡臣、号を研斎といい、安徽省安慶府桐城県の出身です。彼は、康熙帝、雍正帝、乾隆帝の三代にわたり、50年もの長きにわたって清朝に仕え、その治世を支えました。

生い立ちと官歴

張廷玉は、康熙帝時代の大学士である張英を父に持ち、その影響を受けて早くから学問に励みました。1700年には進士に合格し、官界入りを果たします。康熙帝時代には、検討、直南書房、洗馬、侍講学士、内閣学士、刑部侍郎、吏部侍郎など、様々な役職を歴任しました。これらの経験を通して、彼は政治家としての基礎を築き上げました。

雍正帝の時代に入ると、張廷玉はさらに重用されるようになります。1723年に礼部尚書に昇進したのを皮切りに、戸部尚書、翰林院掌院学士、国史館総裁、太子太保と、要職を次々と歴任。1725年には大学士の職務を任され、1726年には文淵閣大学士、戸部尚書、翰林院掌院学士に進み、康熙実録総裁官を兼任しました。1728年には、保和殿大学士兼吏部尚書に転任し、少保の階級も得ました。

軍機処の設立と役割

1729年、西北での戦争をきっかけに、軍機房が隆宗門内に設けられました。この時、張廷玉は怡親王允祥とともに、その運営に携わります。軍機房は後に軍機処となり、清朝の政治運営における重要な機関となりました。張廷玉は、この軍機処の制度や運用規則の改善に大きく貢献しました。

雍正帝の臨終に際しては、オルタイ（鄂爾泰）と共に勅命を受け、大臣として後事を託されます。乾隆帝の時代には、両朝の元老として朝廷から非常に重く見られ、死後には太廟に祀られました。清朝の歴史において、漢人の大臣で太廟に祀られた者は、張廷玉ただ一人です。

皇帝の秘書としての役割

張廷玉の主な仕事は、皇帝の秘書としての役割でした。彼は、上奏文の制度を改善し、皇帝が政務をスムーズに行えるよう尽力しました。また、軍機処の運営規則の改善にも貢献し、清朝の政治制度の確立に大きな役割を果たしました。他の直接政務を処理した大臣とは異なり、歴史上、張廷玉の具体的な功績はあまり多く残されていませんが、その陰の貢献は非常に大きかったと言えるでしょう。

人となりと評価

張廷玉は、小心翼々とした人物で、「万言万当、不如一黙」という言葉を重んじました。その慎重な姿勢は、雍正帝からも高く評価され、「器量純全、抒誠供職」と称えられました。また、「大臣中第一宣力者」とも称され、その忠誠心と能力は多くの人々に認められました。

編集事業への貢献

張廷玉は、政治家としての活躍だけでなく、編集事業にも大きな貢献をしました。『康熙字典』、『雍正実録』、『明史』、『国史館』、『清会典』など、数多くの重要な書籍の編纂に携わり、清朝の文化発展にも貢献しました。

張廷玉は、清朝の政治と文化に多大な貢献をした人物であり、その功績は今もなお語り継がれています。

もう一度検索