朱栄

朱栄（しゅ えい、1359年 - 1425年）は、明代の軍人として名を馳せました。字は仲華といい、沂州臨沂県を本貫とします。

生涯

朱栄は、朱原と施氏の間に生まれました。1381年、総旗として西平侯沐英の雲南遠征に参加したことで、その軍人としてのキャリアをスタートさせます。1389年には、大寧前衛左所副千戸に昇進し、着実に地位を築いていきました。1399年、大寧を守備していた朱栄は、燕王朱棣の勢力下に入り、大寧前衛指揮僉事に進みます。その後、鄭村での戦いで九門を奪取した功績により、都指揮僉事に昇進しました。

1400年には、蔚州・大同を攻め、白溝河や済南での戦いにも参加し、その武勇を示しました。さらに、滄州や東昌を攻略し、同年12月には、孫霖率いる5000の兵を滑口で撃破しました。1401年には、夾河・藁城での戦いで勝利を収め、都指揮使に進みました。同年8月には、定州を包囲するなど、その勢いは留まるところを知りませんでした。

1402年、朱栄は東平・汶上・肥河を攻略し、小河・霊璧・泗州での戦いを経て淮河を渡り、盱眙を攻め落とし、揚州を制圧しました。同年6月には長江を渡り、南京に入城しました。同年9月、左軍都督僉事に任ぜられました。

1406年、朱栄は新城侯張輔に従い、ベトナム遠征に参加しました。鶏陵関を破り、沐晟との合流を果たします。張輔らが嘉林江の上流で渡河作戦を計画すると、朱栄は下流に陣を構え、胡朝の軍を撹乱しました。さらに、下流からの渡河を偽装することで、敵を牽制し、戦況を有利に導きました。この戦いで明軍は多邦城を攻め落とし、朱栄の功績は非常に大きかったとされています。1408年、その功績が認められ、右都督に抜擢されました。1409年には、張輔に従い、胡朝の残党を討伐し、ベトナムの平定に貢献しました。

1410年、朱栄は永楽帝の第一次漠北遠征に従軍し、右掖を率いてアルクタイを攻撃しました。劉栄とともに左都督に進みます。1414年の第二次漠北遠征では、劉栄と共に先鋒を務め、その冬には総兵官として大同に駐屯し、忙牛嶺・兎毛河・赤山・楡楊口・来勝などの城を修築しました。1417年には、北京に召還されています。

1420年、朱栄は劉栄の後任として遼東に駐屯しました。1422年には、永楽帝の第三次漠北遠征に参加し、先鋒を務めました。5000騎を率いて鵰鶚に駐屯し、敵を偵察しました。同年7月、永楽帝の本隊が玉沙泉に宿営すると、朱栄は精鋭の士300人を率い、1人あたり3頭の馬と20日分の食糧を携行し、敵地に深く侵入しました。アルクタイがすでに逃走していたため、遺棄された家畜を鹵獲し、敵の輜重を焼却しました。その後、ウリャンカイを撃破し、同年9月に凱旋すると、武進伯に封じられました。同年12月には、遼東に帰還しました。1424年、永楽帝の第五次漠北遠征にも従軍し、同年8月に遼東に戻りました。1425年、遼東に駐屯したまま、征虜前将軍の印を受けましたが、同年7月30日、遼東で生涯を閉じました。享年67歳。死後、武進侯の称号が追贈され、諡は忠靖とされました。

子女

朱栄には、以下の6人の息子がいました。

朱冕（後嗣、武進伯）
朱黻
朱杲
朱昇
朱昌
朱昱

朱栄の生涯は、数々の戦役での武勲に彩られ、明朝の発展に大きく貢献しました。その軍事的才能と勇猛果敢な行動は、後世に語り継がれています。

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