朽木宣綱

朽木宣綱

朽木宣綱（くつき のぶつな）は、天正10年（1582年）に生まれ、寛文2年5月1日（1662年6月16日）に没した、安土桃山時代から江戸時代前期にかけての武将です。朽木元綱の長男として生まれ、母は尭慧の娘。友綱、稙綱の兄にあたります。官位は従五位下兵部少輔、号は立斎。

生涯

宣綱は初め豊臣氏に、次いで徳川氏に仕えました。元和2年（1616年）には、徳川家康が太政大臣に任官する儀式において、配膳役を務めています。

父・元綱は慶長5年（1600年）の関ヶ原の合戦後、9,590石を領していました。元和2年に元綱が隠居した際、宣綱は6,350石を相続し、3,240石を隠居料として与えられました。寛永9年（1632年）に元綱が死去すると、宣綱は弟たちにそれぞれ友綱に2,015石、稙綱に1,100石を分知し、残りの110石余を併せて本家の所領は6,470石となりました。

朽木氏は江戸幕府の下で大身旗本として仕えましたが、京都防衛の要地を所領に持ち、鎌倉時代以来の近江源氏の名家の末裔であったため、大名並の待遇である交代寄合に列せられました。

正妻は京極高吉の娘であるマグダレナ（洗礼名）。彼女との間に智綱と京極高通をもうけましたが、慶長11年（1606年）に京都八瀬の館で亡くなりました。宣綱は仏式の葬儀を主張しましたが、マグダレナの母である京極マリアの説得により、京都の切支丹教会でキリスト教式の葬儀が盛大に執り行われました。このことが後に問題となり、マリアの姪にあたる淀殿が徳川家康に苦情を訴える事態となりました。

万治2年（1659年）、宣綱は子の智綱に家督を譲り隠居しました。智綱は父の遺領のうち、弟の良綱に1,000石、元綱に700石をそれぞれ分与し、残りの4,770余石を知行しました。

寛文2年（1662年）5月1日、寛文地震が発生し、朽木陣屋の建物が倒壊。宣綱は多くの家臣と共に巻き込まれ、死去しました。享年81、法号は崇玄。

秀隣寺

宣綱はマグダレナの菩提を弔うため、秀隣寺（周林院）を建立し、その境内に墓を建てました。秀隣寺の本尊は観音像に似せた聖母マリア像でした。その後、秀隣寺は移転を繰り返し、最終的には朽木村野尻に再建されました。

秀隣寺が最初に建立された地には元々、足利義晴が朽木稙綱を頼って滞在した岩神館があり、細川高国が造営した庭園が残っていました。この庭園は「旧秀隣寺庭園」として国の名勝に指定されています。

系譜

正室：マグダレナ（洗礼名） - 京極高吉の娘
長男：智綱
次男：京極高通
側室：伴氏
三男：良綱
四男：元綱
生母不明の子女
女子：大島義唯室
女子：岡本介球室
女子：川口宗次室 - 川口宗恒の生母
女子：高麗道覚室
女子：三沢清長室

子孫

宣綱の長男である智綱が朽木本家を相続し、明治時代まで朽木の地を保ちました。次男の高通は母の兄弟にあたる京極高知の婿養子となり、丹後峰山藩1万3000石の大名となりました。三男の家系は1,000石、四男は700石の旗本となりました。

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