杉山知隆

杉山 知隆

1947年8月22日、静岡県清水市（現在の静岡市清水区）に生まれた杉山知隆は、プロ野球で投手として活躍した人物である。

アマチュア時代

清水市立商業高校では、当初は上から投げるオーバースローであったが、2年生の夏の大会を前に投法を下から投げるアンダースローに変更。3年生になった1965年の夏には、全国高等学校野球選手権大会の静岡県予選で準々決勝まで進出するも、惜しくも甲子園出場は叶わなかった。しかし、当時から質の高いストレートを投げ込み、毎試合二桁の奪三振を記録するなど、その才能はプロのスカウトの目に留まっていた。特に大洋ホエールズの入谷正典スカウトからは注目されていたが、実力に加え、高校の監督から母校である専修大学への進学を強く勧められたこともあり、高校卒業後は専修大学商学部へ進んだ。

専修大学野球部では、1年上にエースとして活躍していた芝池博明がおり、東都大学リーグにおいて、なかなか出場機会に恵まれない時期が続いた。大学2年時の1967年に初めてベンチ入りを果たすが、春季リーグではチームのキャンプにも帯同できない状況だった。この頃、再び投法をオーバースローへと戻している。同年新たに就任した監督から受けたアドバイスが、この転向のきっかけであった。さらに監督からは、垂直に落ちる変化球であるドロップの習得も課題として与えられ、この指導が奏功。努力の末に杉山が投げ込むドロップは、彼の投球を支える重要な決め球となった。

大学生活の序盤は下積み期間であったが、秋季リーグ戦で転機が訪れる。シーズン3度目の登板となった亜細亜大学との試合で、リーグ戦初勝利を記録。この試合では、後にプロで活躍する大橋穣など強打で知られる亜細亜大学打線をわずか1安打に抑え込み、当時のリーグ記録となる15奪三振を奪う快投を見せ、一躍注目を集めた。この活躍をスタンドで見守っていた野球好きの両親も、熱心に声援を送っていたという。

社会人時代

大学卒業後、1970年には東芝へ入社し、社会人野球でプレーを続けた。

プロ野球時代

社会人での実績が評価され、1972年のプロ野球ドラフト会議で、大洋ホエールズから2位指名を受けて入団。念願のプロ入りを果たした。

大洋に入団後、1973年には9月27日の対中日ドラゴンズ戦で初めて一軍のベンチ入りを経験。奇しくもこの日は、長男となる一成氏が誕生した日でもあったという。プロ初登板は1974年7月30日の対中日ドラゴンズ戦（中日スタヂアム）で救援登板、この際にプロ初奪三振を記録した。プロ初勝利は1975年7月26日、対阪神タイガース戦（川崎球場）での救援登板で、プロ初セーブは同年9月30日、対ヤクルトスワローズ戦（川崎球場）で記録した。プロ初先発は1975年7月30日の対ヤクルトスワローズ戦（川崎球場）であった。

プロ入り数年を経て、1977年には先発ローテーションの一角として存在感を示すようになる。プロ初先発勝利は4月16日の中日ドラゴンズ戦（川崎球場）で、これを皮切りに安定した投球を見せ、読売ジャイアンツ打者を得意とする「巨人キラー」としても名を馳せた。前半戦だけで、ロングリリーフでの2勝を含む8勝5敗という好成績を収め、この年のオールスターゲームにも選出される活躍を見せた。この勢いから二桁勝利達成も期待されたが、後半戦は先発として長いイニングを投げられなくなる試合が続き、最終的には9勝10敗4セーブという成績で、惜しくも二桁勝利には届かなかった。

1978年、杉山は大きな転換期を迎える。間柴茂有と共に、野村収とのトレードで日本ハムファイターズへ移籍したのである。移籍初年度は、開幕2戦目から先発投手として起用され、9勝を記録した。前期は苦戦したが、後期開幕直後の7月4日に行われたロッテオリオンズ戦（後楽園球場）で、移籍後初の完投勝利を飾る。この登板は、直前の試合から約3週間の実戦から遠ざかっていた中でのものだったが、並々ならぬ覚悟で臨み、力投。打線の援護もあり、ロッテ打線を1点に抑えきっての完投勝利となった。これは約50日ぶりの白星であり、チームに活気をもたらした。プロ入り初完投勝利は1977年4月20日の対ヤクルトスワローズ戦（明治神宮野球場）で達成している。その物静かな人柄と、力強い投球スタイルから「狂四郎」という愛称で呼ばれ、独特の投法は「円月投法」とも称された。

1979年は、自己最多でありキャリアで唯一の二桁勝利となる11勝を挙げたシーズンとなった。一方で、リーグ最多となる17敗を喫するなど、好不調の波が見られた。8月18日の南海ホークス戦（弘前市運動公園野球場）では、プロ入り初の完封勝利を達成。重いストレートと落差のあるカーブを駆使する得意のパターンで相手打線を抑え込んだ。この試合は、プロ7年目での初完封であり、キャリア初の二桁勝利を同時に達成した記念すべき登板となった。このシーズンは先発としての登板が中心であった。開幕直後は苦戦したが、シーズン中盤にかけて徐々に勝ち星を増やしていった。

1981年、肩の故障に見舞われ、同年限りで現役を引退した。

引退後

現役を引退した後は、故郷である静岡県清水に戻り、食料品店を経営した。

背番号

プロでの背番号は、大洋時代が21（1973年 - 1977年）、日本ハム時代が17（1978年 - 1981年）であった。

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