杉重矩

杉重矩（すぎ しげのり）

杉重矩は、戦国時代の武将であり、周防・長門国を本拠とした戦国大名・大内氏の家臣として活躍しました。豊前守護代・杉重祐の子、または養子とされ、杉重清の子とも伝えられています。子に重輔、正重がいます。

生涯

大内家臣時代

史料における初見は、享禄3年（1530年）10月14日付の防府天満宮棟札に見られる「杉七郎重信」の名です。天文7年（1538年）12月には朝廷より従五位下の叙任を受けています。当初は「重信」を名乗っていましたが、天文8年（1539年）に「重矩」、天文22年（1553年）には「重将」と改名しました。大内義隆に仕え、豊前の守護代として、大友氏や少弐氏との戦いで功績を挙げました。

大寧寺の変

杉重矩は、陶晴賢とは不仲であり、常に対立していました。しかし、天文20年（1551年）の陶晴賢の謀反（大寧寺の変）においては、晴賢に味方し、主君である大内義隆を討つという行動に出ています。この理由については諸説ありますが、義隆が文治派の相良武任を寵愛したことに対する不満があったという説が有力です。

最期

大内義隆への謀反後、重矩は再び陶晴賢と対立することになります。これは、重矩が変後に主君や公卿らを殺害した自らの行動を後悔し、周防佐波郡大崎に蟄居していたことが原因です。また、変の前に晴賢を討つように義隆に進言していたことが、相良武任申状を入手した晴賢に知られてしまったためでもあります。重矩は晴賢に敗れ、長門国厚狭郡長光寺に逃亡しましたが、追い詰められて自害しました。その首級は、義隆の霊に捧げるとして山口で晒し首にされました。この重矩殺害は、晴賢が謀反の責任を重矩に転嫁し、自己を合理化して政権を確立するための手段であったとされています。

この遺恨は、跡を継いだ息子の重輔に引き継がれました。重矩は不仲ながら晴賢の謀反に同調して大内義隆を討ったため、義隆に晴賢のことを讒言して晴賢に寝返った悪人であるとまで評される史料も存在します。

偏諱を与えた人物

大庭矩景（家臣、大庭氏。父は景家、子の賢兼は陶晴賢に属す）

参考文献

福尾猛市郎『大内義隆』吉川弘文館〈新装 人物叢書〉、1989年。ISBN 4642051732。
* 魚屋翔平「大内氏家臣杉重矩の二度目の改名」『戦国史研究』第71号、戦国史研究会、2016年2月。

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