李元嬰

李元嬰（り げんえい）

李元嬰（生年不詳 - 684年）は、中国・唐朝の初代皇帝である高祖・李淵の二十二男であり、末子として生まれました。滕王に封じられ、その名を知られることとなります。

生涯

李元嬰は、李淵と柳宝林の間に生まれました。639年、滕王に封じられ、1000戸の領地を与えられます。641年には金州刺史に任ぜられますが、その行動は自由奔放で、規律を重んじませんでした。父である太宗の喪中にも、部下を集めて宴会を開き、歌舞に興じていたと伝えられています。

652年には蘇州刺史に移され、653年には洪州都督に赴任しました。この地で、後の世に名を残す滕王閣を建設します。滕王閣は、武漢の黄鶴楼、岳陽の岳陽楼と並び、江南三大名楼の一つとして数えられています。この楼閣は、王勃によって「滕王閣序」に詠まれ、その美しさと歴史的意義は、後世の絵画の題材としても好んで描かれることとなりました。

662年、李元嬰は隆州刺史に転じ、その後、開府儀同三司・梁州都督に昇進しました。684年4月に死去し、司徒・冀州都督の位を追贈され、献陵に陪葬されました。

李元嬰には、長楽王李循琦をはじめとする18人の子がいました。

滕王閣

滕王閣は、李元嬰が洪州都督であった時代に建てられた楼閣です。竣工後、何度も再建と修復が繰り返され、現在の建物は比較的新しいものですが、その歴史的・文化的な価値は非常に高く評価されています。

王勃の「滕王閣序」は、滕王閣の落成を祝って書かれた文章で、中国文学史における名作として知られています。この序文によって、滕王閣の名は広く知られることとなり、多くの人々に愛される存在となりました。

人物評

李元嬰は、皇族でありながらも、その自由奔放な性格で知られていました。規律を重んじない行動は批判されることもありましたが、一方で、芸術や文化に対する造詣が深く、滕王閣の建設など、後世に残る業績も残しています。彼の生涯は、唐代の皇族の多様な側面を示すものとして、興味深い研究対象となっています。

伝記資料

『旧唐書』巻64 列伝第14「滕王元嬰伝」
『新唐書』巻79 列伝第4「滕王元嬰伝」

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