李元礼

李元礼（り げんれい）

李元礼（生年不詳 - 咸亨2年9月2日（671年10月10日））は、中国・唐の初代皇帝である高祖・李淵の十男。徐王（じょおう）に立てられた人物です。

生涯

李淵と郭婕妤（かくしょうよ）の間に生まれた李元礼は、幼い頃から恭謙（きょうけん）で謹直（きんちょく）な性格であり、乗馬や弓術に長けていました。武徳4年（621年）には鄭王（ていおう）に封じられ、その才能と人柄が早くから認められていたことがうかがえます。

貞観6年（632年）には、700戸の実封（じっぷう：領地からの収入）を与えられ、鄭州（ていしゅう）刺史（しし：地方長官）に任ぜられました。その後、徐王に徙封（しほう：封地を移されること）され、徐州都督（ととく：軍事長官）に転じました。貞観17年（643年）には、絳州（こうしゅう）刺史に転任。その治世は善政として広く知られ、その功績が太宗（李世民）の耳にも届き、精勤ぶりをねぎらわれ、錦（にしき）や綾絹（あやぎぬ）などの褒美を賜りました。貞観23年（649年）には、実封は1000戸にまで増加し、その功績が着実に積み重ねられていったことがわかります。

永徽4年（653年）には、司徒（しと：高位の官職）の位を加えられ、潞州（ろしゅう）刺史を兼任しました。咸亨2年（671年）にこの世を去ると、太尉（たいい：軍事の最高位）・冀州（きしゅう）大都督（だいととく）の位を追贈され、献陵（けんりょう：李淵の陵墓）に陪葬されました。諡（おくりな）は康（こう）といい、その生涯を讃えるものでした。

家族

李元礼には3人の息子がいました。そのうち李茂（りも）は淮南王（わいなんおう）となりましたが、他の息子たちの爵位は公（こう）にとどまりました。問題は李茂の人物像にありました。彼は性格が酷薄（こくはく）で、素行が悪く、父である元礼を大いに悩ませました。

元礼が病に倒れた際、李茂は父の寵姫であった趙氏（ちょうし）の美貌に目をつけ、強引に奪ってしまいます。元礼がこれを叱責すると、李茂はこれを恨み、元礼の侍衛を退け、薬膳を絶ってしまいます。「すでに50年も王をやっているのに、どうして服薬して長らえることがあろうか？」と言い放ったと伝えられています。その結果、元礼は餓死という悲惨な最期を遂げ、李茂が後を継ぐことになりました。

しかし、上元年間（674年 - 676年）に、李茂の悪行が明るみに出ます。その結果、李茂は振州（しんしゅう）に流罪となり、そこで生涯を終えました。父を死に追いやった非道な行いは、最終的に自身の破滅を招いたのです。

伝記資料

『旧唐書』巻六十四 列伝第十四「徐王元礼伝」
『新唐書』巻七十九 列伝第四「徐王元礼伝」

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