李復

李復の生涯と業績

李復（りふく）は739年に生まれ、797年に亡くなった唐の宗室で、字は初陽と呼ばれました。彼は父親の李斉物が官職にあった影響を受け、官僚としての道を歩み始めます。

官歴と行政手腕

李復は江陵府の司録参軍に任命され、官吏としてのキャリアをスタートさせました。彼は職務に精通し、特に衛伯玉からの厚い信任を受けることで、江陵県令に上奏され、後の江陵少尹へと昇進します。この時期、彼は厳格で時には冷酷な性格で知られましたが、その手腕で国のために貢献しました。

その後、饒州刺史と蘇州刺史を歴任し、いずれの任地でも民のために良い政治を行ったとの評価を受けます。特に、民に寄り添う姿勢が評価されました。建中4年（783年）には国内の李希烈による反乱が起こり、朝廷は危機的な状況を迎えましたが、在江陵の李復は民心を掌握しつつ、反乱鎮圧に貢献することになります。

各地での施策

再び江陵少尹に戻った後、李復は軍民の安定を図りました。貞元2年（786年）以降、容州刺史を務める際には、前の西原蛮の反乱時に捕らえられた者をその家族の元に返すなど、慈悲深い行動が目立ちました。このような施策は、彼の評判を高め、官吏としてだけでなく、民間からも高く評価される要因となりました。

また、貞元3年（787年）には広州刺史に転任し、嶺南の情勢を安定させるための行政も行いました。特に、上司である高正平と張応が死去後の混乱期には、胡懐義の排除など、迅速な対応を見せました。

地域統治と人民への配慮

李復は、民衆の住居改善にも力を入れ、茅葺きの家から瓦葺きに変えるよう奨励するなど、生活環境の向上にも尽力しました。彼のこうした地方行政へのアプローチは、単なる統治を超え、地域住民との信頼関係を構築する重要な要素となりました。最終的には、長安に召還されて宗正寺卿に任じられた後も、彼はその手腕を引き続き発揮します。

晚年と評価

貞元9年（793年）の李元諒の死後、李復は華州刺史として治安の保持を任され、その後の混乱を収拾する役割を果たしました。貞元10年（794年）には、鄭滑節度使の死去に伴う混乱を鎮めるため、兵部尚書に任じられ、民の負担を軽減し、人々から感謝されるような施策を展開しました。

李復は貞元12年（796年）には更に昇進し、次第にその地位を確立させていきましたが、797年4月に不幸にも死去。その享年は59歳でした。彼の死後、その功績により彼は司空の位を追贈され、評価されました。また、彼の名は諡号「昭」と共に語り継がれています。

彼の生涯は、唐代の中での地方行政の理想形として、後世にも影響を与えるものとなりました。

もう一度検索