李紹

李紹（り しょう）は、明代中期に活躍した学者であり、官僚です。字（あざな）は克述（こくじゅつ）といい、本貫は吉安府安福県にありました。1407年12月27日に、李遵武と劉氏の間に生まれ、その生涯を学問と公務に捧げました。

1433年、宣徳8年に進士に及第し、翰林院庶吉士に任じられました。翰林院は、皇帝直属の学術機関であり、高い学識を持つ者が集められる場所です。李紹は、ここでその才能を発揮し、1435年には翰林院検討に進み、『宣宗実録』の編纂に携わりました。実録とは、歴代皇帝の治世を記録した重要な歴史書であり、その編纂に携わることは、学者として非常に名誉なことでした。当時、大学士の楊士奇が病に臥せると、英宗が使者を派遣して人材を求めました。楊士奇は、李紹を含む5人の名を挙げ、その才能を高く評価しました。

1446年、正統11年に母が亡くなったため、李紹は職を辞して喪に服しました。当時の中国では、親の喪に服することが非常に重要視されており、官僚であっても例外ではありませんでした。3年間の喪が明けると、1449年、李紹は翰林院修撰として復帰しました。その年、土木の変が起こり、北京に戒厳が布かれるという非常事態となりました。多くの官僚が家族を南方に避難させる中で、李紹は「主が辱められて臣が死ぬというのに、家をどうしようというのか」と言い、家族を避難させませんでした。この逸話は、李紹の忠誠心と責任感を示すものとして、後世に語り継がれています。

1450年、景泰元年には、経筵講官を兼ねるようになりました。経筵とは、皇帝に経書や歴史を講義する場で、学識のある官僚が選ばれました。1452年には、司経局洗馬となり、翰林院修撰も兼ねました。司経局は、経典の校勘や管理を行う機関であり、李紹の学識が再び評価されたことを示しています。1456年、景泰7年には、『寰宇通志』の編纂にも参加しました。『寰宇通志』は、地理書であり、李紹は歴史だけでなく、地理にも精通していたことが分かります。その後、右春坊右庶子となり、翰林侍講も兼ねました。右春坊は、皇太子の教育を担う機関であり、ここでも李紹の教育者としての才能が発揮されました。

1457年、天順元年には、翰林侍講を兼ねたまま尚宝司卿となりました。尚宝司は、皇帝の印璽や宝物を管理する機関であり、李紹は学問だけでなく、実務能力も高く評価されていました。その冬には、翰林学士に昇進し、翰林院における最高位に達しました。1458年、天順2年には、李賢や王翺の推薦により、礼部右侍郎に抜擢されました。礼部は、儀礼や祭祀、教育などを担当する重要な部署であり、李紹は行政官としても才能を発揮したのです。

1464年、天順8年には、『英宗実録』の編纂を命じられ、副総裁を務めました。実録の編纂は、国家の歴史を後世に伝える上で非常に重要な事業であり、李紹の学識と経験が不可欠であったと言えるでしょう。1466年、成化2年に病のため致仕を願い出て、官界を引退しました。そして1471年1月28日、65歳でその生涯を閉じました。

李紹は、学者として、官僚として、そして教育者として、その才能を存分に発揮し、明代の歴史にその名を刻みました。彼の忠誠心と学識は、後世の模範となり、今もなお語り継がれています。

李紹の事績は、『明史』巻163 列伝第51に詳しく記されています。また、徐紘の『明名臣琬琰続録』巻8には、礼部侍郎李公神道碑が収録されており、李紹の生涯を偲ぶことができます。

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