李継貞

李継貞（り けいてい）

李継貞（1593年 - 1642年）は、明代末期の官僚であり、字は徴尹、号は萍槎と称しました。本貫は蘇州府太倉州です。彼はその生涯において、優れた洞察力と強い正義感をもって国政に貢献しようと努めましたが、その剛直な性格が災いし、しばしば権力者との摩擦を引き起こしました。

生涯

1613年、李継貞は進士に及第し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。最初は大名府推官に任じられ、その後、兵部職方主事に転じました。1624年には山東での郷試を担当しましたが、試験問題で時の権力者であった魏忠賢を風刺したことが原因で降格され、ついには官籍を削られてしまいました。これは、彼の権力に屈しない強い意志を示す出来事でした。

1628年、李継貞は武選員外郎として再び官界に復帰し、職方郎中に進みました。当時、軍政は混乱しており、李継貞は軍事行政を補佐する重要な役割を担いました。彼の仕事は正確かつ迅速であり、兵部尚書の熊明遇から厚い信頼を得ました。1631年、孔有徳が山東で反乱を起こすと、熊明遇は懐柔策を試みようとしましたが、李継貞はこれに反対し、関外の兵を導入して反乱軍を鎮圧するよう主張しました。熊明遇は当初この意見を聞き入れませんでしたが、後になって李継貞の提案が有効であったことを認め、反乱を鎮圧しました。また、延綏で反乱が起きた際には、官庫の資金を投入し、元末の董摶霄の人力輸送法を参考に、食糧を前線に輸送するよう進言しました。さらに、贖罪銭や売官献納金を利用して、辺境に食糧を運び、飢えた民衆を救済することを提案しました。彼は「兵法における慰撫と掃討の両立は、反乱軍そのものを慰撫するのではなく、反乱軍に加担しようとする民衆を慰撫することである」と述べ、御史に30万石の食糧を持たせて派遣し、民衆の飢えを癒すことで反乱を防ぐべきだと主張しました。崇禎帝はこの提言に感銘を受け、御史の呉甡に10万金を持たせて派遣しましたが、李継貞はこれでは不十分だと訴えました。しかし、崇禎帝は聞き入れず、結果的に反乱は発生しました。

李継貞は、他人に対して頭を下げない、清廉潔白な人物として知られており、権力者への請託を一切行いませんでした。大学士の周延儒が彼を総兵官の属官に任用しようとした際にも、これを拒否したため、周延儒の恨みを買いました。その後、尚宝司卿に任じられましたが、田貴妃の父である田弘遇がその功績によって叙官を求めた際、李継貞はこれを認めなかったため、田弘遇は度々李継貞を中傷する上疏を行いました。また、宦官の曹化淳が私的な関係者を把総に任命しようとした際にも、李継貞はこれを拒否しました。曹化淳は、戎政尚書の陸完学を通じて兵部尚書の張鳳翼に圧力をかけ、李継貞に命令させましたが、李継貞はそれでも許可しませんでした。張鳳翼は最終的に李継貞の意見を無視して人事を通しましたが、曹化淳はこれに怒り、田弘遇と共に李継貞の失脚を画策し、崇禎帝に讒訴しました。その結果、李継貞はささいな過ちを理由に官位を降格させられました。甘粛での戦功を論じた際、李継貞が前甘粛巡撫の梅之煥の起用を主張したことが崇禎帝の怒りを買い、官籍を剥奪されてしまいました。その後、四川桃紅壩での戦功によって官位に復帰しましたが、間もなく官を辞しました。

1638年、李継貞は再び推薦によって官界に復帰し、南京と北京の尚宝卿を歴任しました。1639年春、崇禎帝に謁見し、水利や屯田について詳細な意見を述べたことが評価され、順天府丞に転任しました。その後、兵部右侍郎兼右僉都御史に任じられ、天津巡撫として、薊州鎮と遼東鎮の軍糧を監督しました。彼は屯田を奨励し、経地、招佃、用水、任人、薄賦の五議を上書しました。彼の屯田政策により、白塘と葛沽の間数十里は豊作となりました。1641年冬、遼東の援軍派遣を命じられましたが、戦艦の整備不良のために出立できず、官爵を剥奪されました。1642年夏、兵部添註右侍郎として召還されましたが、病に倒れ、道中で亡くなりました。享年50歳でした。死後、右都御史の位が追贈されました。

李継貞は、その著書として『津門奏草』、『萍槎集』、『雪虹閣集』を残しました。彼の生涯は、正義を貫き、民を思う官僚の模範として、後世に語り継がれています。

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