村上綱清

村上綱清（むらかみ つなきよ）

村上綱清は、戦国時代に房総地方で活躍した武将です。生年は享禄5年（1532年）、没年は永禄元年3月13日（1558年4月1日?）とされています。千葉氏の家臣であり、米本城の城主を務め、民部大輔とも称されました。

人物

村上綱清は、村上国綱の子として生まれました。子に村上助三郎胤遠がいます。村上氏は、信濃国の豪族である村上義清と同族であり、清和源氏の流れを汲むとされています。総州村上氏の起源は古く、鎌倉時代の宝治合戦の頃に足利氏が上総守護代に任じられた際、その被官として総州に移住したと考えられています。南北朝時代には、上総国守護代として村上氏の名が見られ、足利氏の衰退後は、総州の有力氏族である千葉氏の配下となりました。

村上国綱・村上綱清親子は、下総国の臼井荘にあった米本城一帯を治め、善政を敷いたことから領民に慕われたと言われています。しかし、佐倉藩士磯部昌言の『佐倉風土記』によれば、米本城の落城に際し、自害したとされています。八千代市米本の長福寺には、綱清のものと伝えられる墓石があり、「伝・村上綱清の墓石」として八千代市の文化財に指定されています。

地元の言い伝えでは、村上国綱・村上綱清親子は、平戸川（今の新川）を隔てた権現山砦に陣を張った太田道灌勢と戦い、居城の米本城が落城した際に家臣もろとも自害したとされています。しかし、村上綱清と太田道灌が活躍した時期が異なることや、綱清が自害したとされる時期に、土気城攻めに参戦して勝利し、古河公方足利義氏がその活躍を賞賛する書状を送っているなど、不明瞭な点も多く残されています。

米本城は、元々臼井城の支城として室町時代に築城され、太田道灌の臼井城攻めや安房里見氏の侵攻、上杉謙信の関東征伐における臼井城攻めなど、多くの戦を経て、現在の南北約300ｍの城郭に拡張されたと考えられています。豊臣秀吉による小田原征伐の際、北条氏に従い抵抗した総州村上氏をはじめとする千葉一族も所領を没収され滅亡しました。その後、徳川家康が関東に入ると、臼井城には酒井家次が配置され、米本城は廃城となりました。

現在でも八千代市や市原市には、総州村上氏と繋がりを持つ伝承を持つ旧家が存在しています。また、米本城周辺には、太田道灌勢との戦いに由来する「矢中」「おんまわし」などの地名や、「城橋」「土橋」などの名が残っています。さらに、「咳の神様」「しろぬし様」などの民話も語り継がれています。

関連項目

縁のある氏族

信濃村上氏 - 総州村上氏の起源とされる。
足利氏（小弓公方・古河公方）
千葉氏（臼井氏・千田氏・原氏）

所縁の場所

米本城址（八千代市）
米本神社（八千代市）
飯綱神社（飯縄権現神社）（八千代市）
長福寺（八千代市）
七百餘所神社（八千代市）
村上城址（市原市）
上総村上駅（市原市）
八剱八幡神社（木更津市）
妙泉寺（木更津市）

参考文献

八千代市教育委員会「八千代市中世館城址調査報告」1976年
八千代市「八千代市の歴史　通史編　上」2008
小林千代美著「八千代の昔話」2017年10月5日「咳の神様（p123-131）」
市原市文化財研究会「上総市原　第8号」1992年
市原市「市原市史　中巻」1986年
千葉県城郭研究会「千葉城郭研究　第9号」2008年

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