村井城 (信濃国)

村井城（小屋城）

村井城、または村井館は、長野県松本市に存在した日本の城です。最終的な正式名称は小屋城とされています。一般的には村井城の別名が小屋城または小屋館と認識されていますが、正確には、この地を治めていた村井氏の居館である村井館が前身です。村井氏の詰城は埴原城でした。天文17年（1548年）に起こった塩尻峠の戦い（勝弦峠の戦い）で村井氏が滅亡すると、武田信玄が村井館を接収し、小屋城として改築しました。

歴史

村井城の地には、木曾義仲の家臣であった手塚光盛が居住したという伝承がありますが、真偽は定かではありません。鎌倉時代から戦国時代初期にかけては、この地を支配した村井氏が居を構えていました。村井城は平時の居館であり、有事の際には埴原城を詰城として利用していました。

天文17年（1548年）、甲斐の武田晴信（後の信玄）が小笠原長時と戦った際、村井氏は小笠原氏に味方し、村井館は現在の松本市にある林城や深志城（松本城）といった城の南側の防衛拠点としての役割を担っていました。しかし、小笠原氏が塩尻峠の合戦で敗北すると、村井氏は滅亡し、村井館は武田晴信の手に渡りました。

同年10月、武田晴信は村井館跡に小屋城の築城を命じ、林城攻略のための前進拠点としました。さらに、天文19年（1550年）7月には、武田晴信は小笠原氏の詰城であった林城を攻略し、居城であった深志城も落としてこの地を支配下に置きました。これにより、小屋城は深志城の支城となり、武田家臣の馬場信房配下の上條氏が城主となりました。この時、林城、埴原城、桐原城などの小笠原氏が築いた鎌倉室町様式の山城は廃城となりました。

武田氏が滅亡した後、小屋城も廃城となりました。しかし、天正18年（1590年）に村井郷が分村された際、この地は小屋村と名付けられました。

現在、村井城の遺構は一切残っておらず、住宅地の中に「小屋城跡」と書かれた標柱と説明看板が建てられているのみです。隣接する都波岐神社と泉龍寺は、村井城と何らかの関連があったと考えられています。

現在の状況

城跡は住宅地となっており、往時の面影はほとんど残っていません。しかし、「小屋城跡」の標柱と説明看板は、この地に城があった歴史を今に伝えています。

参考文献

南原公平 著『信州の城と古戦場』 しなのき書房 2009年

関連項目

松本市の名所・旧跡
* 松本市の歴史

外部リンク

[参考になる外部リンクがあれば記載]

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