村井康彦

村井康彦は、1930年に山口県で生まれ、日本の歴史学者として著名です。専門は日本文化史であり、特に古代史や茶の湯文化に関する研究で知られています。京都大学文学部史学科を卒業後、同大学院で研究を続け、1964年には学位論文『律令国家解体過程の研究』で文学博士号を取得しました。

1958年に京都女子大学の助教授となり、後に教授に昇進。1987年には国際日本文化研究センターの教授に就任し、1995年に定年退官後は名誉教授となりました。その後も、滋賀県立大学教授や京都市歴史資料館館長を歴任するなど、教育・研究機関で要職を務めました。2000年に滋賀県立大学を退任後も、京都造形芸術大学大学院長、京都市芸術文化協会理事長などを歴任し、文化・芸術分野にも貢献しました。

研究においては、当初は日本古代史を専門としていましたが、後に茶の湯研究へと進み、1993年には茶の湯文化学会の設立に参加しました。日本の宮廷文化に関する著作も多く、歴史学だけでなく、文化研究の分野でも多大な業績を残しています。

著書としては、以下のようなものがあります。

『室生路の寺』(カラーブックス奈良の寺) （入江泰吉共著、保育社、1970）
『京都の歴史』(全10巻) （林屋辰三郎編集責任、上田正昭・井上満郎ほか著、學藝書林、1970-1976）
『京都事典』 （東京堂出版、1979）
『京料理の歴史』(シリーズ食文化の発見) （柴田書店、1979）
『中世 心と形』 （守屋毅共編、講談社、1979）
『茶道美術手帳』 （筒井紘一・赤沼多佳共編、淡交社、1987）
『君台観左右帳記・御飾書』(茶の湯の古典 1) （相阿弥（校訂訳注）、世界文化社、1990）
『京都・大枝の歴史と文化』 （思文閣出版、1991）
『千年の息吹き 京の歴史群像』 （上田正昭共編、京都新聞社、1993-1994）
『図説・平安京 建都四〇〇年の再現』 （淡交社、1994）
『京の歴史と文化』(全6巻) （講談社、1994）
『足利将軍若宮八幡宮参詣絵巻』 （[国際日本文化研究センター]、1995）
『よみがえる平安京』 （淡交社、1995）
『公家と武家 その比較文明史的考察』 （思文閣出版、1995）
『平安京の光と闇 貴族社会の実像』(史話日本の古代 第8巻) （作品社、2003）
『環琵琶湖地域論』 （西川幸治共編、思文閣出版、2003）
* 『長楽寺蔵 七条道場金光寺文書の研究』 （大山喬平共編、法藏館、2012）

また、2008年には京都市文化功労者として表彰され、2010年には瑞宝中綬章を受章するなど、その功績は広く認められています。

村井康彦は、歴史学者としての活動に加え、文化人としても多岐にわたる分野で活躍し、日本の文化・歴史研究に大きく貢献した人物です。

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