村瀬末一

村瀬末一の生涯と業績

村瀬末一（むらせ すえいち、1882年1月27日 - 1953年3月24日）は、日本の実業家であり、特に電気事業において顕著な業績を遺しました。岐阜県の出身で、彼は大同電力の副社長として知られています。彼の生涯は、企業経営や電力開発に深く関わる内容で彩られています。

生い立ちと学歴

村瀬は1882年に、本巣郡網代村で村瀬与平の次男として誕生しました。村瀬家は江戸時代に士分でありましたが、明治期には没落していました。彼の兄の支援を受け上京し、慶應義塾普通部に入学、その後、法律科に進んで1907年に卒業しました。

大学卒業後、村瀬は古河鉱業に入社し、鉱務部で働きましたが、間もなく志願兵として陸軍に入隊します。除隊後、再び古河鉱業に戻りましたが、その後教師として慶應義塾で法学を教えました。

名古屋電灯でのキャリア

村瀬は教師の職を辞め、東京電灯に入社。その後、名古屋に移り名古屋電灯に転職しました。彼は副支配人に昇任し、木曽川や矢作川の開発を手掛けました。特に、重要な発電所の建設に尽力し、電源開発部門の設立に寄与しました。この経験は、彼の後の職業人生において大きな影響を与えました。

1921年には、名古屋電灯の電源開発部門が独立して木曽電気製鉄となり、村瀬はその支配人に就任します。彼はこの新会社での発電所建設にも関与し、さらなる業績を上げました。

大同電力の副社長として

村瀬が大同電力の副社長に就任するのは1925年のことです。彼が入社した背景には、名古屋電灯・大阪送電・日本水力の合併があります。社内では、電源開発に注力し、特に大井ダムの建設プロジェクトでの活躍が際立ちます。また、村瀬は他の企業の取締役や社長職も兼務し、業界内での地位を確立しました。

彼の経営スタイルは時に対立を生む原因となり、社内の陰口や不満も生じました。最終的に、彼は1931年に副社長職から退くこととなりますが、その後も大同電力の取締役として在任しました。

昭和電力の社長を経て

村瀬は大同電力から退任後、昭和電力に転じ、社長に就任します。この会社では、親会社の指導の下、電源開発を再開し、多くの発電所の建設に貢献しました。しかし、昭和電力は日本発送電に吸収され、彼は副社長として会社経営に関与することになります。

電力業界以外での活動

村瀬は電力業界以外でも多くの役職を務めました。北恵那鉄道の社長や豊国セメントの社長など、彼は様々な企業で重要な役割を果たしました。特にセメント業界でも、その経営手腕を発揮し、関連する業界団体の代表を務めるなど、影響力を持ち続けました。

晩年と死去

村瀬は最晩年まで企業経営に携わり続け、1953年に糖尿病のため死去しました。享年71。彼の人生は、電力事業の発展と日本の産業界における重要性を象徴するものであり、今なお多くの人々に記憶され続けています。最後まで彼の影響力は途切れることなく、多くの企業の発展に寄与しました。

もう一度検索