杜如晦

杜如晦（と じょかい）

杜如晦（585年 - 630年）は、中国・唐代初期の政治家であり、字は克明（こくめい）と称しました。彼の家柄は京兆郡杜陵県に根ざし、父は隋王朝で昌州長史を務めた杜吒（とた）、叔父には杜淹（とえん）、弟には杜楚客（とそきゃく）がいました。

生涯

若い頃から学問に親しみ、隋末期には吏部（りぶ）に籍を置きましたが、間もなく官を辞して故郷に戻りました。その後、李淵（りえん）が長安を占拠すると、李世民（りせいみん）の参謀であった房玄齢（ぼうげんれい）に見出され、その幕下に入りました。

玄武門の変（げんぶもんのへん）の前には、讒言（ざんげん）によって秦王府（しんおうふ）を追われるという苦難も経験しましたが、李世民が太宗（たいそう）として即位すると、中央政界に復帰し、太子左庶子（たいしさせい）や兵部尚書（へいぶしょうしょ）といった要職を歴任し、尚書右僕射（しょうしょゆうぼくや）にまで昇りつめました。房玄齢と共に、唐の治世における黄金期である「貞観の治（じょうがんのち）」を現出させる原動力となりました。

貞観4年（630年）に46歳という若さで亡くなりました。死後、司空（しくう）・萊国公（らいこくこう）の位を追贈され、「成（せい）」と諡（おくりな）されました。

人物

房玄齢が優れた企画力を持っていたのに対し、杜如晦は卓越した決断力の持ち主であり、軍事・政治の両面で多難であった太宗の治世初期を力強く支えました。彼の裁決は迅速かつ的確であり、同僚たちから深く敬服されました。

房玄齢は杜如晦について、「秦王府から去る者が多くとも、それは惜しくはございません。ただ、杜如晦殿は聡明で見識に優れ、帝王の補佐としての才能がある人物でございます。もし、大王が諸侯で満足なさるのなら、彼を用いる場所はございませんでしょう。しかし、帝王として天下を治めようと思いますなら彼以外に良い人材はおりませぬ」と評したと伝えられています。この言葉からも、杜如晦が李世民にとってどれほど重要な存在であったかが窺えます。

杜如晦の存在は、唐の初期の安定と発展に大きく貢献し、その功績は歴史に深く刻まれています。

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