杜弘 (東晋)

杜弘（と こう）

杜弘（生没年不詳）は、東晋初期に活躍した軍人です。彼は、西晋末期の混乱期に杜弢の反乱に加わり、その後、東晋の大将軍である王敦の配下として重要な役割を果たしました。彼の生涯は、当時の激動する政治情勢と深く関わっています。

生涯

元々は、西晋に反乱を起こした杜弢に仕えていました。建興3年（315年）2月、杜弢が再び反乱を起こすと、杜弘は張彦と共に臨川内史の謝擒を攻撃するよう命じられました。海昏での戦いで謝擒を破り、捕えて殺害。その後、豫章を攻略し、城邑を焼き払いました。

しかし、西晋朝廷は周訪率いる軍を派遣。豫章と石頭で激戦が繰り広げられました。周訪の部将である李午によって張彦が討ち取られ、杜弘自身も周訪に敗れて廬陵へ撤退。さらに周訪の追撃を受け、城を守ることを余儀なくされました。杜弘は周訪軍の兵糧を奪うことに成功し、周訪を巴丘へ退かせましたが、兵糧を整えた周訪軍に廬陵を包囲されます。

杜弘は、城外に宝物をばら撒き、周訪軍の混乱を誘って包囲を突破。南康へ逃れましたが、南康郡太守の軍に敗れ、臨賀へと敗走しました。

その後、杜弘は広州刺史の王機のもとへ降伏を申し出ます。彼は王機に対し、金数千両を送り、桂林の賊を討伐したいと願い出ました。王機はこの申し出を朝廷と王敦に報告し、許可を得ます。杜弘は桂林の賊を討伐する功績を挙げ、王機は交州刺史に任じられることとなりました。しかし、杜弘が桂林からの帰還途上、鬱林で王機と出会った際、交州の人士からの反対により王機が赴任できない状況にあることを知ります。そこで杜弘は王機に広州に割拠することを提案し、王機はこれを受け入れ、杜弘、広州の将である温邵、交州の秀才である劉沈と謀り、反乱を起こします。

この反乱に対し、広州刺史の陶侃は赴任途中に事態を知り、広州へ急行。杜弘は陶侃に偽りの降伏を申し出ますが、陶侃はこれを見抜き、万全の備えを整えます。陶侃軍の堅固な守りを見た杜弘は退却。陶侃軍は追撃し、杜弘軍を撃破しました。劉沈は桂林で、温邵は始興で捕らえられ、王機は逃走中に病死。杜弘は零陵郡太守の尹奉のもとへ降伏を申し出、尹奉は杜弘を王敦のもとへ送りました。王敦は杜弘を将として重用しました。

永昌元年（322年）3月、大将軍の王敦が東晋朝廷に対して反乱を起こすと、杜弘は王敦軍の一員として参戦。王敦軍が石頭を攻めようとした際、杜弘は劉隗軍の抵抗を予想し、周札への懐柔策を進言しました。杜弘は自ら前鋒となり石頭を攻め、周札を招き入れることに成功。王敦軍は石頭を拠点とし、戦局を優位に進めることとなりました。

しかし、これ以後の杜弘の事績は、史書には記されていません。

参考文献

『晋書』巻5、巻58、巻66、巻98、巻100
『資治通鑑』巻89、巻92

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