来宮駅

来宮駅は、静岡県熱海市福道町に所在する、東日本旅客鉄道（JR東日本）伊東線の鉄道駅です。駅ナンバリングは「JT 22」が付与されています。

駅の概要と運行形態

当駅を経由する列車運行は、日中時間帯においては伊東線と伊豆急行線の相互直通運転が中心となっています。加えて、朝および夕方から夜間にかけては、伊東線から東海道本線を経由し、上野東京ラインとして東北本線（宇都宮線方面）や高崎線方面へ直通する列車も停車します。これらの直通列車は、2015年（平成27年）3月14日のダイヤ改正より設定されましたが、湘南新宿ライン系統の列車は当駅には乗り入れていません。

交通系ICカードについては、「Suica」が導入されており、「Suica首都圏エリア」に含まれています。これにより、Suicaを利用した首都圏の相互利用サービスや、交通系ICカードの全国相互利用サービスにも対応しています。さらに、JRの旅客営業規則に定められる大都市近郊区間制度において、「東京近郊区間」の一部としても扱われています。

駅の設備とサービス

伊東線内の一部の途中駅と同様に、来宮駅は2015年（平成27年）3月8日をもって駅員の配置がない無人駅となりました。これは、「駅遠隔操作システム」（現在の「お客さまサポートコールシステム」）の導入と同時期に行われたものです。無人化に合わせて、自動券売機は多機能券売機へ置き換えられ、自動精算機が新設されました。この自動精算機には、券面の確認ができる台と、伊東駅にいる駅員と通話できるインターホンが備えられています。これにより、通常は駅員が窓口で行う処理の一部を、伊東駅の担当者がこのシステムを通じて遠隔で対応できるようになっています。ただし、多機能券売機については、2023年10月時点では設置が確認されていません。

駅構造は、盛土上に設けられた島式ホーム1面2線を持つ地上駅です。この盛土は、近くにある東海道本線の丹那トンネル掘削時に発生した大量の捨石（ズリ）を利用して、熱海梅園付近の谷間を埋め立てて造成された場所に位置しています。

駅舎は1番線ホームの南側に面して建てられており、ホーム中央付近から盛土内部に設けられた通路を通って連絡しています。この連絡通路は階段のみで、エレベーターなどのバリアフリー設備は設置されていません。改札口には簡易式のSuica改札機が置かれています。

東海道本線との関係

来宮駅は、東海道本線の線路に非常に近接しており、地理的には伊東線がここで東海道本線から分岐するような形になっていますが、旅客用のホームは伊東線にのみ存在します。並行して走る東海道本線の線路の脇には、東京方面からの熱海止まりの列車が折り返しのために使用する電留線が、上下線それぞれに1線ずつ、合計2本設けられています。これらの電留線には、熱海駅で運転を終えた列車が東海道本線を経由して入線し、点検や整備を受けた後、再び東京方面へ向かう列車として使用されます。当駅の留置線を利用する東海道本線の列車の乗務員時刻表には、来宮駅に関する時刻が記載されています。

1935年（昭和10年）に伊東線が開業する以前、この場所には東海道本線の熱海駅と函南駅の間に「来宮信号場」が存在しました。伊東線はこの来宮信号場を建設上の起点としていたため、伊東線の0キロポストは来宮駅に置かれています。伊東線開業に伴い、東海道本線の来宮信号場は営業上廃止され、伊東線の熱海駅と伊豆多賀駅の間に改めて「来宮駅」が開業しました。このため、駅として開業した当初から、来宮駅と函南駅の間には営業キロが設定されておらず、運賃計算は熱海駅を経由して行われます。東海道本線は1968年（昭和43年）まで来宮駅 - 熱海駅間を伊東線と線路共用していましたが、分離された後も来宮駅の信号設備は引き続き使用されています。また、丹那トンネルを抜けてくる東海道本線における東海旅客鉄道（JR東海）とJR東日本の会社境界は、当駅の上り場内信号機の近くにある線路の継ぎ目に位置しています。これは、来宮駅の構内配線が東海道本線と一体的な構造になっているため、旅客営業上の会社境界である熱海駅に会社境界を設けるよりも、資産の区分が明確になるためです。

かつては、国鉄で初めて導入されたCTC（列車集中制御システム）である伊東線のCTCセンターが来宮駅に設置されていましたが、2006年（平成18年）秋に、伊東線のCTC装置が熱海駅構内の進路制御装置と統合・更新されたことにより、その機能は熱海駅へ移転しました。

歴史

来宮駅は以下の変遷をたどりました。

1935年（昭和10年）3月30日：鉄道省伊東線の熱海駅から網代駅までの開業に伴い、当駅も開業しました。
1949年（昭和24年）6月1日：国鉄の駅となりました。
1972年（昭和47年）3月15日：荷物の取扱いが廃止されました。
1987年（昭和62年）4月1日：国鉄分割民営化により、JR東日本の駅となりました。
1997年（平成9年）4月1日：日勤化に伴い、駅員が配置されない時間帯が設定されました。
2004年（平成16年）10月16日：ICカード「Suica」の利用が可能となり、東京近郊区間に編入されました。
2007年（平成19年）6月22日：みどりの窓口の営業が終了しました。
2009年（平成21年）10月1日：駅構内が全面禁煙となりました。
2013年（平成25年）3月16日：特急「踊り子」の停車駅から外れました。
2015年（平成27年）3月8日：「お客さまサポートコールシステム」の導入に伴い、駅員無配置（無人化）となりました。

利用状況

2013年度の1日平均乗車人員は1,133人でした。近年の利用状況は、JR東日本が公表するデータなどで確認できます。

隣の駅

JR東日本伊東線
熱海駅 (JT 21) - 来宮駅 (JT 22) - 伊豆多賀駅 (JT 23)

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