来島ダム

来島ダムの概要と歴史

来島ダム（きじまダム）は、島根県飯石郡飯南町にある高さ63メートルの重力式コンクリートダムです。このダムは、一級河川・斐伊川水系に位置し、中国電力が管理・運用する発電用ダムとして知られています。最大で36,000キロワットの電力を発生させる能力を持ち、その水は潮発電所に供給されています。また、ダムによって造られた人造湖は「来島湖（きじまこ）」と名づけられています。

ダムの建設は1956年に完了しましたが、その背景には中国電力が電源開発を急いでいた事情があります。同社は、1953年に完工した明塚発電所から取水し、湖の水を使って最高25,000キロワットを発生する浜原ダムの運用も行っていました。来島ダムの建設により、潮発電所への水供給が始まり、その結果、明塚発電所の発電能力も向上するという相乗効果を生むことができました。

さらに、神戸川は元々二級河川でありましたが、2006年に斐伊川水系に組み込まれています。これはダムの管理や利用の効率向上に寄与しています。

周辺環境と利用

来島ダムへのアクセスは、島根県出雲市を出発し、国道184号を南下することによって可能です。ダムの構造には、放流用の水門（ラジアルゲート）が3つ設置されており、そこから水を流すための導流路が作られています。この設計は高暮ダムに似ていると評判です。

湖の周囲にはキャンプ場も設けられており、毎年7月から8月の間に利用可能です。この自然豊かな環境では、コイ、ヘラブナ、ウナギなどの魚が生息しており、釣りを楽しむこともできます。

来島ダムからの水は水路を経て潮発電所へ送られ、江の川で放流されます。また、潮発電所からの水は江の川の流れに加えられ、下流に位置する浜原ダムへと送られます。このように、来島ダムが果たす役割は地域の電力供給だけでなく、流域全体の水利用にも寄与しています。

地域の課題と対応

最近、来島ダムの下流では新たな志津見ダムの建設が進められています。このダムは国土交通省が直轄で設計した治水および利水を目的とした多目的ダムで、2010年に完成しました。しかし、2006年の豪雨による水害が発生した際には、住民から来島ダムの放流が水害の要因だとの指摘が上がりました。

その後、専門家を交えた調査委員会が設置され、放流操作が規定に沿ったものであったことが確認されました。中国電力は、洪水時に最大200立方メートル毎秒の洪水調節を行っていたと説明しており、ダムの役割を再確認しています。委員会は、出水期間の水位低下や早期放流の実施、河川のパトロール強化など、さらなる改善を求めています。

結論

来島ダムはその電力供給の重要性とともに、地域における水管理の要として機能しています。また、周囲の自然環境を生かしたレクリエーション施設としても利用され、多くの人々に親しまれています。今後もその役割を見直し、地域のニーズに応え続けることが求められています。

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