東中野(ひがしなかの)は、
東京都八王子市の南部に位置する、
住居表示未実施の
地域です。
多摩丘陵の一角を占め、起伏に富んだ地形が特徴で、
谷戸が多く見られます。
湧水や
地下水も豊富で、かつてはこれを利用した酒造業も盛んでした。
地理
東は、大塚、南は松が谷、別所、西は堀之内、北は
日野市程久保と隣接しています。
多摩ニュータウン開発に伴い、南部の市街地化が進む一方、北部には山林が多く残り、畑作や稲作も行われています。この
地域には、多摩の農村風景が今も色濃く残っています。
河川
地域内には、以下の河川が流れています。
大栗川
谷津入川
歴史
中世以前
多摩丘陵周辺は水が豊かだったため、古くから人々の定住が進んでいました。東中野からも
縄文時代早期の
遺跡が多数発掘されています。
平安時代には船木田荘に属し、
室町時代には
大石氏、その後は
後北条氏の支配下に置かれました。
1870年、元新撰組隊士の
斎藤一諾斎が金住院の住職となり、漢学や習字などの教育を行いました。斎藤のもとには、中野村だけでなく周辺の村々からも子弟が集まり、教育を受けました。このことが、
地域全体の教育熱を高め、大沢信重、井上隆治、林副重、柚木芳三郎など、多摩
地域における
自由民権運動の指導者を輩出する原動力となりました。
沿革
安土桃山時代: 太閤検地の記録に中野村の名が見られるため、この頃には存在していたと考えられます。
江戸時代: 武蔵国
多摩郡中野村として、
旗本領でした。中の村、中ノ村とも記されました。
1822年: 平田篤胤が中野村の少年を取材し、「勝五郎再生記聞」を刊行しました。
1869年: 品川県成立に伴い、
品川県の一部となります。
1870年: 神奈川県に編入されました。
1873年: 斎藤一諾斎らにより生蘭学舎(現:
八王子市立由木東小学校)が設立されました。
1878年: 南[[多摩郡]]成立に伴い、神奈川県南[[多摩郡]]中野村となります。
1882年: 町村分合により、東中野村に改称しました。
1889年: 町村制施行に伴い、周辺10ヶ村と合併し、神奈川県南[[多摩郡]]由木村となりました。
1893年: 南[[多摩郡]]が
神奈川県から東京府に移管され、東京府
南[[多摩郡]]
由木村となりました。
1964年: 由木村が八王子市に合併し、八王子市東中野となりました。
1973年: 由木土地区画整理事業認可。南部の開発が始まりました。
2000年: 多摩都市モノレールが延伸し、中央大学・明星大学駅が開業しました。
由来
江戸時代以前は中野村でしたが、多摩郡小宮領にも同名の中野村があったため、1882年に小宮領の中野村が西中野村と改称したのに対し、東中野村と改称されました。
小字
東中野では、江戸時代の「小名」が、現在の町内会地区の単位として引き継がれています。
谷津入: 北西部。谷間に位置し、多くの
谷戸があったことに由来します。
井戸ノ上: 南部。まいまいず井戸があったことに由来します。
天野: 北東部。天野
谷戸と呼ばれる谷あいにあります。
字
1875年の
地租改正で字が再編され、「一号」から「二十九号」という数字が割り当てられました。
旧字名も住民の間で慣習的に使われています(大
谷戸、天野
谷戸、松木
谷戸など)。
伝承
勝五郎
1822年、中野村の少年、小谷田勝五郎が、前世は程久保村の藤蔵という子供だったと語ったという話があります。この話は
江戸まで広まり、
平田篤胤が『勝五郎再生記聞』に、
小泉八雲も随想集『仏の畠の落穂』に著しました。
2017年12月31日現在の
世帯数と
人口は以下の通りです。
(具体的な数値は省略)
小・中学校の学区
(学区についての詳細な記述は省略)
交通
道路
野猿街道: かつては小野路道と呼ばれていましたが、1928年に新道敷設工事が行われました。
鉄道
多摩都市モノレール:
中央大学・
明星大学駅。
バス
多くのバス路線が
地域内を運行しています。
京王バス
京王バス南
神奈川中央交通
(各路線の詳細は省略)
施設
自治会館
東中野会館
谷津入会館
学校
中央大学多摩キャンパス
明星大学日野キャンパス
八王子市立由木東小学校
神社
熊野神社: 1607年創建。境内のイチョウの木は、子宝に恵まれなかった住民が祈願成就を願って植えたとされています。かつては他に秋葉神社、稲荷神社などがありましたが、熊野神社に合祀されました。
寺院
善徳寺:
浄土真宗高田派。慶長年間に建立されました。かつては金住院という寺もありましたが、
廃寺となりました。
行政
由木村の初代村長、大沢信重をはじめ、井上隆治など、東中野出身の村長を複数輩出しました。
脚注
(脚注は省略)
関連項目
東中野 (曖昧さ回避)
外部リンク
八王子市
*
平田篤胤『勝五郎再生記聞』 (
ウェイバックマシン)