東京メトロ13000系電車

東京メトロ13000系電車は、2017年 3月25日に営業運転を開始した日比谷線用の通勤形電車です。従来の03系電車の置き換えと、日比谷線の3ドア車と5ドア車が混在していた問題を解決するために導入されました。

概要

13000系の導入に合わせて、日比谷線各駅にはホームドアが設置され、ATO（自動列車運転装置）による自動運転が開始される予定です。これは、安全性の向上と運行の効率化を目的としています。

また、東武鉄道でも日比谷線乗り入れ用の新型車両70000系が導入されており、13000系とは設計段階から仕様の共通化が図られています。これにより、メンテナンスの効率化や部品の共通化が期待されています。製造は、両形式ともに近畿車輛が一括して受注しています。

導入の経緯

日比谷線には急カーブが多かったため、以前は18m級の車両が使用されていましたが、再計測の結果、20m級車両の入線が可能であることが判明しました。これにより、13000系は20m級7両編成となり、輸送力が増強されました。この変更に合わせて、東武・東急・東京メトロの3事業者で作成された「2号線車両規格」も大幅に改定されました。

車体

車体は、アルミ合金製のダブルスキン構造で、無塗装となっています。レーザー・MIGハイブリッド溶接を採用することで、高精度で歪みの少ない構造を実現しています。オフセット衝突対策として、車体端の隅柱を強化し、前面構造も肉厚化するなど、安全性が向上しています。また、リサイクルを考慮して、使用するアルミ合金の種類を極力統一しています。

外観デザインは、日比谷線の初代車両である3000系と2代目車両である03系の面影を残しつつ、近未来的なアレンジが加えられています。前照灯はL字形に配置されたLEDを使用し、尾灯はコの字形に配置することで、従来のイメージを一新しています。車体の識別帯には、日比谷線の路線カラーであるシルバーに加え、淡い青色と紺色がアクセントとして使用されています。

屋根上には、冷房能力58.0kWの冷房装置が搭載されており、各コンプレッサを個別のマイクロコンピュータで制御することで、効率的な冷房を実現しています。冷媒には、オゾン層への影響が少ないR407Cを使用しています。

車内

車内は、白色の内板パネルを基調とし、淡い木目調の妻面と座席脇仕切り板、紺色の床面で構成され、落ち着いた雰囲気となっています。座席の表地は、「夜空に浮かび上がるビル群」をイメージしたデザインで、都会的な印象を与えます。龍村美術織物製のものが使用されています。

開放的な空間とするため、座席横の仕切りや荷棚には透明な強化ガラスが使用されています。荷棚の強化ガラスには江戸切子をイメージした模様が描かれており、LED照明で淡く発光させることで、棚下部の暗がりを低減させています。

座席は片持ち式のロングシートで、1人あたりの座席幅を広げ、クッション性を改良しています。7人掛けのロングシートにはスタンションポールを設置し、定員着席を促しています。また、混雑時に立客の手荷物が着座している人に接触しないように、座席横の仕切りが大型化されています。

客室扉の上部には、17インチワイド液晶画面が3つ並びで設置され、停車駅名や路線図、ニュースなどの情報が提供されます。車端部にはフリースペースが設置されており、立席客向けの腰当てバーが取り付けられています。優先席は、両車端部に設置されています。

車内スピーカーには高音質ステレオ放送システムが搭載されており、クリアな音質で音楽などを楽しむことができます。また、車両基地での検査やイベントの際に使用することを想定し、車内でクラシック音楽などを流せる機能も搭載されています。

機器類

主電動機には、1時間定格205kWの永久磁石同期電動機 (PMSM) が採用されており、従来の誘導電動機に比べて消費電力が削減されています。制御方式は、VVVFインバータ装置を使用しており、インバータ1基で1基の主電動機を制御する1C1M制御となっています。

ブレーキシステムは、ATC連動電気指令式電空併用ブレーキで、回生ブレーキ制御にはTIS（車両制御情報管理装置）による編成統括ブレンディング制御方式を採用しています。これにより、回生ブレーキを有効活用し、省エネルギー化を図っています。

補助電源装置は、容量185kVAの静止形インバータ (SIV) を編成内に2台搭載しています。電動空気圧縮機 (CP) は、オイルフリースクロール方式のものを編成内に2ユニット搭載しています。

日比谷線にATOが整備された時に備え、ATOの機器スペースの確保や準備工事が行われています。

台車は、ボルスタ付きのダイレクトマウント式のSC103形片軸操舵台車が採用されており、曲線走行時の騒音を低減するため、自己操舵機能が搭載されています。

編成

すべての車両に車椅子スペース・ベビーカースペースが設けられています。簡易運転台付き車両は連結されていません。

運用

2017年 3月25日より日比谷線および乗り入れ先の東武伊勢崎線・日光線で運行を開始しました。2020年5月13日付で入籍した第44編成（13144F）を最後に本系列の投入が完了しました。

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