東京メトロ2000系電車

東京メトロ2000系電車は、2019年2月23日に営業運転を開始した丸ノ内線用の通勤形電車です。02系の老朽化とCBTCへの対応を目的に開発され、東京メトロの魅力を発信する役割も担っています。

概要

東京メトロでは、標準軌・第三軌条方式の路線を他の路線と区別するため、銀座線1000系と同様に4桁の形式称号を使用しています。2000系では、VVVFインバータ装置などの駆動システムにおいて省エネ化が実現され、「令和元年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰」や「2019年度省エネ大賞経済産業大臣賞」を受賞しました。53編成の車両価格は約550億円です。

車体

アルミニウム合金製のダブルスキン構造を採用し、FSWで接合されています。オフセット衝突対策として、車体端角部には三角形の板を重ねた構造で補強。リサイクルを考慮し、アルミ合金の材質を統一しています。銀座線1000系の技術を応用し、「地上」「活気」「先進的」をキーワードに、丸ノ内線開業時の300形をイメージしたグローイング・スカーレットのカラーフィルムを車体全体にラッピング。サインウェーブを上部に配し、前照灯は300形をモチーフとした鍵形デザインです。

車内

円形の窓が特徴的で、赤と黒を基調としたシックなデザイン。淡いピンク色の内板にダークな木目調の妻面と袖仕切板、濃いめのピンク色の床敷物を採用しています。荷棚底面や貫通扉には強化ガラスを使用し、開放感を演出。つり革は黒色の丸形と楕円形の2種類。座席表地は龍村美術織物製で、一般席は黒色ベースに赤と黒のグラデーション、優先席はオレンジ色です。LED照明により省エネ化を図り、セクション通過時の照度低下を解消。貫通扉には丸ノ内線の路線図と沿線名所のアイコンイラストを配置しています。

バリアフリーにも配慮し、ドア下部に黄色着色の識別表示、ドア上部には開閉表示灯を設置。防犯カメラ、オレンジ色のつり革、袖仕切縦握り棒も備えています。全車両に車椅子スペースとフリースペースを設置し、フリースペースにはテーブルと電源コンセントがあります。冷房装置は23.26kW出力品を2台搭載し、快適性を向上させています。

旅客案内機器

各ドア上部には17インチ液晶ディスプレイを3画面設置し、広告動画や行先案内、乗り換え案内などを表示します。前面と側面にフルカラーLEDの行先表示器を新設し、駅ナンバリングも追加表示しています。

乗務員室

T字形ワンハンドルマスコンとグラスコックピット構造を採用。液晶画面は3画面で、計器表示や車両制御情報管理装置などに使用します。自動放送装置や車外放送用スピーカーを搭載し、車上メロディーは02系と同じです。乗務員室と客室の仕切り壁には機器を設置し、仕切り窓は設置されていません。

走行機器

主電動機には永久磁石同期電動機（PMSM）を採用し、VVVFインバータ制御方式で制御します。制御装置はオールSiC-MOSFET素子を使用した2レベルVVVFインバータ装置。1C1M制御を1群とし、2群分の制御回路を1台のインバータユニットに集約した「2in1形」インバータ装置を採用しています。補助電源装置は140kVA容量の静止形インバータ（SIV）、空気圧縮機はオイルフリースクロール式ユニットコンプレッサを採用。保安装置は新CS-ATCに加え、CBTCの準備工事も行われています。

台車

軸箱支持装置がモノリンク式のボルスタ付き自己操舵機能台車SC108形を採用。曲線走行時の安定性を高めるため、操舵リンク機構を取り付けた操舵軸を使用し、レールにかかる横圧を低減しています。主電動機は池袋寄りの先頭車以外の端側の非操舵軸に搭載。基礎ブレーキは非操舵軸が踏面ブレーキ、操舵軸がディスクブレーキで、踏面清掃装置も設置。先頭車の台車には駐車ブレーキも搭載しています。

ブレーキ制御

各軸個別制御システムを採用。小型車体に対応するため、小型のブレーキ装置と超小形ブレーキ受信装置一体形ブレーキ作用装置を新規開発。回生ブレーキの有効活用を図るため遅れ込め制御を導入し、TISを用いた編成統括回生ブレンディング制御を採用しています。

編成

6両編成で、VVVF、SIV、CP、BT、IRなどの機器を搭載。車椅子/ベビーカースペースも設置されています。

運用

2018年8月18日に日本車両豊川製作所から出荷され、中野車両基地に搬入。2019年2月23日に営業運転を開始し、2023年度末までに全52編成を導入し、02系を置き換えました。第32編成までは日本車両が、第33編成以降は近畿車輛が製造を担当しました。

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