東勝寺 (鎌倉市)

東勝寺の歴史と発掘調査

東勝寺（とうしょうじ）は、神奈川県鎌倉市葛西ケ谷にかつて存在した寺院で、鎌倉幕府の執権として名を馳せた北条氏の菩提寺の一つであり、関東十刹の一つにも数えられています。特に、鎌倉幕府が衰退した際の東勝寺合戦が知られています。

沿革

東勝寺は、開山が明菴栄西の弟子である退耕行勇で、開基は北条泰時とされています。歴史的な記録によれば、退耕行勇は1241年にこの寺で示寂しています。1225年、執権に就任した北条泰時は鎌倉の鶴岡八幡宮近くの滑川を越えた葛西ケ谷の谷間に寺を築き、北条一族の菩提の場としました。東勝寺は単なる菩提寺でなく、有事に備える城塞的な役割も果たしたとされています。

記録によれば、1307年には南山士雲が住持しており、以後も東明恵日や太清宗渭などが住持していました。1323年には、北条貞時の十三年忌供養において、当寺の僧侶53名が参加したことが記録されており、かなり規模の大きな寺院であったことが窺えます。

1333年、後醍醐天皇に呼応して新田義貞の軍が鎌倉に攻め寄せると、北条高時らは東勝寺に籠城しましたが、結果的に自ら火を放ち自刃しました。この時、自害した者は数百に上り、名越の一族やその家臣たちが名を連ねています。

寺院は焼失しましたが、間もなく再建されたとされます。北条氏の滅亡を悼み、藤沢市に新たな東勝寺が建てられました。同時に、住職の信海和尚は本尊の大日如来像を持ち出し、逗子市池子にその名を改めた寺を設立しました。

東勝寺は、1342年には関東十刹の中で第五位、1353年には第三位、1386年には再び第三位に位置づけられました。廃寺の時期は明確ではないものの、1512年には住持が任命されており、その後1573年には他の寺に土地が与えられたことから、その間に廃止されたと考えられています。

発掘調査と現況

1975年から1997年にかけて、寺跡において数回の発掘調査が行われました。出土した陶磁器などの遺物から、元弘3年当時の存在が確認されました。調査では、鎌倉石を用いた石垣や石敷きの坂道、排水溝、礎石建物などが発見され、格式ある仏教寺院の構造が明らかになりました。

出土品には、宋・元代の青磁香炉や天目茶碗、古瀬戸の壺などがあり、いずれも権力者に支えられた寺院の装飾品であることが示されています。1998年には「東勝寺跡」として国の史跡に指定され、当時の面影が今も残されています。現在、かつて高時が切腹したとされる「腹切りやぐら」の伝説が伝えられ、旧跡の碑が立っていますが、周辺の危険性から立ち入りは禁止されています。

関連項目

• - 北条氏
• - 東勝寺合戦
• - 関東地方の史跡一覧

以上のように、東勝寺は鎌倉時代の重要な歴史的拠点で、その遺構や出土品には日本の歴史が色濃く刻まれています。

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