東方福音キリスト教会

東方福音キリスト教会：伝統と聖書に基づく独自の信仰

東方福音キリスト教会は、三重県伊勢市に位置する、2012年12月に設立されたアナバプテスト系の独立教会です。この教会は、東方教会の伝統と歴史を尊重しつつ、福音主義、特に聖書復帰運動の精神に基づいた独自の信仰体系を確立しています。自由主義神学や福音派左派の思想とは一線を画し、伝統的なキリスト教信仰の堅守に力を入れています。

信条：三位一体と聖なる五柱

東方福音キリスト教会の信仰の中核をなすのは、ニカイア信条、ニカイア・コンスタンティノポリス信条、そしてカルケドン信条への確固たる信仰です。これらの信条は、三位一体の神、イエス・キリストの神性と人間性、聖霊の働きを明確に規定しており、教会の教義的基盤となっています。

さらに、この教会は独自の信条として『聖なる五柱』を掲げています。それは、「聖書のみ」、「信仰のみ」、「恵みのみ」、「キリストのみ」、「神の栄光のみ」という五つの柱から成り立ち、聖書の権威、信仰による義認、神の恵みの重要性、キリストの救済の唯一性、そして神への栄光への帰属を強調しています。

これらの信条に基づき、教会は聖書66巻の無謬性を信じ、聖書の教えを信仰と生活の唯一の指針としています。また、人間の救済はキリストの贖いの恵みによるものであり、善行ではなく信仰によってのみ義とされると説いています。

礼拝と教会運営：伝統と規律

礼拝においては、バプテスマ（浸礼）と主の晩餐のみが行われます。幼児洗礼は否定され、新生した信者のみがバプテスマを受けることができます。主の晩餐は、パンとぶどう酒を用い、聖書朗読、祈り、説教などを含む厳粛な儀式として執り行われます。また、教会ではキリストの人間性と受肉を想起し、イコン（聖像）の存在を認めていますが、偶像崇拝や聖人崇拝は明確に否定されています。女性信徒は礼拝においてベールを着用することが求められています。

教会の運営においては、牧師（監督）と奉仕者の二つの職が設けられ、明確な教会組織が維持されています。また、この教会は独立教会として、外部からの干渉を受けずに独自の信仰を守り、運営しています。

独自の規律：教会の純粋性の維持

東方福音キリスト教会は、教会の純粋性を維持するために、信徒に対していくつかの独自の規律を設けています。これらは、教会内における音楽演奏や異言の禁止、カリスマ運動やペンテコステ運動への参加禁止、十分の一献金の否定、そして左翼活動や反国家・反日的な政治活動への禁止などを含みます。

これらの規律は、聖書に基づいた解釈に基づいており、教会の秩序と信徒の信仰生活の健全性を維持するためのものとされています。違反者には破門などの厳格な処分が科せられます。

特に、音楽演奏の禁止については、ツヴィングリの考え方に基づき、礼拝において聖書朗読を重視する姿勢が明確に示されています。異言やカリスマ運動への否定は、それらを非聖書的なもの、悪魔的なものとみなす教会の立場を示しています。また、十分の一献金の制度を否定し、献金は個人の自由な意思によるものとすることで、教会内の経済的な依存関係の排除を目指しています。

政治活動についても、左翼思想や反国家・反日的な活動への関与を厳しく禁じており、キリスト教信仰と愛国心の調和を重視する姿勢が見て取れます。

まとめ：伝統と革新の共存

東方福音キリスト教会は、伝統的なキリスト教信仰を堅守しつつ、独自の解釈と規律に基づいた信仰体系を持つ、特異な教会です。聖書を唯一の指針とし、厳格な規律によって教会の純粋性を保ちながら、現代社会におけるキリスト教のあり方を模索していると言えるでしょう。その独自性と規律の厳しさは、賛否両論を巻き起こす可能性がありますが、伝統的なキリスト教信仰を重視する人々にとって、魅力的な存在であると言えるかもしれません。

もう一度検索