東方諸民族大会

東方諸民族大会とは

1920年9月1日から7日にかけて、バクーにて開催された東方諸民族大会は、ソヴィエト政府が推進した国際会議であり、コミンテルンが主催しました。この大会は、第一回東方諸民族大会と名付けられましたが、残念ながらその後の開催はありませんでした。

背景

ロシア革命の影響を受け、ソヴィエト政府は旧ロシア帝国の周辺地域における革命の拡大を目指していました。特に中央アジアや中東では、多くのムスリムが住んでおり、彼らへの民族自決の思想を広めることが求められていました。このため、前年の1919年3月に設立されたコミンテルンは、参加地域に住む民族に対して、ソヴィエト政府との連帯を呼びかけることを目的に大会を開催することを決定したのです。

参加国と参加者

大会には、中央アジアのソヴィエト共和国を含む、トルコやペルシア、アルメニア、インド、中国、アフガニスタンなど、総勢37カ国から1,891名が参加しました。参加者の中で、約80％はソヴィエト国内に居住する東方諸民族の出身者であり、アゼルバイジャン、北カフカス、トゥルケスタンからの代表者が特に多かったとされています。大会には、なんと1900人もの代表が出席し、彼らは各国の民族的な意見や要求を持ち寄りました。

執行委員会

大会においては執行委員会も設立され、ナリマン・ナリマノフ、ムスタファ・スプヒ、ミルザ・ダヴド・グセイノフ、セルゲイ・キーロフ、セルゴ・オルジョニキゼ、ヘイダル・ハーン・アムー・ウーグリー、エレーナ・スターソヴァといった著名なメンバーが選ばれました。彼らは大会の方針やアクションプランを策定し、参加した民族に対する課題に取り組みました。

日本からの参加

興味深いことに、日本からも在米日本人社会主義者団の吉原太郎が大会に参加しており、大会議長団に選ばれるまでの影響力を持っていました。このように、様々な民族の代表者が集まり、互いに意見を交わすことで、民族自決の必要性や連帯についての議論が行われました。

その後の影響

この大会が後の国際的な民族問題に与えた影響は計り知れませんが、残念ながら続く会議は開催されず、多くの歴史的背景や緊邇に流れる情勢も影響して、第2回以降の開催は行われませんでした。そのため、東方諸民族大会は、当時の世界における民族問題に対して一石を投じる重要な試みとなったのです。

関連事項

この大会は、「全ロシア・ムスリム大会」や後に行われた「極東諸民族大会」といった他の会議とも関連性がありますが、名称などが混同されることが多い点に注意が必要です。また、この大会と同時期に活動していたエンヴェル・パシャなどの影響力を持つ政治的な人物とも関連しています。

参考文献

この大会に関する詳細な情報は、いいだももによる編著『民族・植民地問題と共産主義 コミンテルン全資料・解題』に記載されています。

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