東武大叶線

大叶線は、かつて栃木県安蘇郡葛生町（現在の佐野市葛生）に存在した東武鉄道の貨物線です。佐野線の終点である葛生駅からさらに奥へと伸びていた貨物線、会沢線の上白石駅から分岐し、大叶駅へと至る1.6kmの短い路線でした。

この路線は、大叶鉱山から産出される石灰岩やドロマイトといった鉱物を輸送するために敷設されました。これらの鉱物は、セメントや化学製品の原料として、地域経済を支える重要な役割を担っていました。

路線データ

廃止時のデータは以下の通りです。

路線距離: 上白石 - 大叶間 1.6 km
軌間: 1,067 mm
駅数: 3駅（起終点含む）
電化区間: 全線（直流1,500 V）
複線区間: なし（全線単線）

全線が電化されており、電気機関車が貨物輸送に使用されていました。

運行形態

大叶線は、全線が貨物輸送専用でした。旅客輸送は行われていませんでした。主な輸送品目は、大叶鉱山で採掘された石灰岩やドロマイトでした。

歴史

大叶線の歴史は、以下の通りです。

1929年（昭和4年）
3月22日: 鉄道免許状が下付されました。
4月1日: 上白石 - 大叶間が開業しました。
7月1日: 山崎駅が宮本駅に改称されました。
1966年（昭和41年）6月: 上白石 - 大叶間が電化されました。
1986年（昭和61年）10月21日: 上白石 - 大叶間が廃止されました。

大叶線は、開業から57年間、地域の鉱業を支え続けましたが、1980年代に入り、鉱業の衰退と共に、その役割を終えました。

駅一覧

大叶線には、以下の3つの駅がありました。これらの駅はすべて栃木県安蘇郡葛生町（現在の佐野市葛生）に所在していました。1981年当時、全て専用線発着車扱貨物のみを取り扱う貨物駅でした。

1. 上白石駅（かみしらいしえき）
2. 宮本駅（みやもとえき）
3. 大叶駅（おおがのうえき）

これらの駅は、鉱山からの貨物を積み込むための施設が備えられていました。

脚注

大叶線は、短い路線でしたが、地域の産業に大きく貢献しました。その存在は、日本の鉱業と鉄道輸送の歴史を語る上で重要な要素の一つと言えるでしょう。

参考文献

今尾恵介（監修）『日本鉄道旅行地図帳』3号 関東1、新潮社〈新潮「旅」ムック〉、2008年7月。ISBN 9784107900210。

関連項目

日本の廃止鉄道路線一覧
廃線
関東地方の鉄道路線
大叶鉱山鉄道
軽便鉄道
鉱山鉄道

外部リンク

* 製造・設備 - 吉澤石灰工業

このリンク先は、大叶鉱山を運営していた吉澤石灰工業の公式サイトであり、当時の鉱山の様子をうかがい知ることができます。

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