東鯷人

東鯷人とは

東鯷人（とうていじん）は、古代中国の史書に登場する民族で、主に中国本土の東側、特に東シナ海に近い地域に居住していたと考えられています。彼らは「東鞮」という別名もあり、倭人との関係が示唆される文献も存在しています。

東鯷人に関する歴史的資料

東鯷人についての最古の記録は、漢の時代にさかのぼる資料『法言』です。これは、思想家の楊雄が年間を通じて編纂したもので、特に新の王莽に対する貢物として、東鯷人が自国の珍しい品物を献上したとする記述が見られます。ただし、具体的な時期は記載されていません。

また、後漢時代に編纂された『漢書』では、地理の記述の中で倭人の説明がなされている部分があり、興味深い一致を見せています。ここでは、倭人と同じ文化圏に住んでいた可能性があることが示唆されています。さらに、王莽伝においても東鯷人に関連する記載が存在し、今後の研究において重要な指針を提供しています。

後漢草書と他の文献

『後漢書』では、東夷伝の節に東鯷人についての言及が見られます。この書物では、東鯷人は徐福の伝説に繋がる場所として描かれています。徐福が不老不死の薬を求めて東方へ旅した際、彼らの土地を訪れた可能性が示唆されており、ここでも彼らの存在が確認されています。

第三者の視点からも、例えば『三国志』や『文選』などの他の史書でも、その名称が言及されており、東鯷人が歴史上の重要な民族であったことを立証しています。また、隋末に編纂された『北堂書鈔』では、東鯷人の居住地とされる東鯷壑という地名が確認されます。

言語と文化

「東鯷」という名称の具体的な意味は定かではありませんが、これに関連する用語や記述は他の文献に散見されます。『周礼』の中には周の時代の少数民族に関連する記述があり、また『戦国策』には東鯷が呉の東方を指す意味合いで使用されていることが示されています。

さらに、詩や歌、物語においても東鯷人とのつながりが見られ、南斉の詩人謝朓の「永明楽」や沈約の「従軍行」などでは、東シナ海や周辺の文化が描かれています。これらの文献は、東鯷人がどのような生活を送っていたのか、またどのような文化背景が存在していたのかを考える上で重要な手がかりとなります。

まとめ

東鯷人は、中国の古代史において重要な位置を占めていた民族であり、倭人との関連性が多くの文献で示唆されています。彼らに関する詳細な記述は、古代の中国とその周辺地域の文化や人々の交流を理解するための鍵となるでしょう。今後の研究によって、さらなる真実が明らかになることが期待されます。

もう一度検索