松尾伝蔵

松尾伝蔵

松尾伝蔵（まつお でんぞう、1872年9月18日 - 1936年2月26日）は、日本の陸軍軍人。陸軍士官学校6期卒業。最終階級は陸軍歩兵大佐。位階勲等は従四位・勲三等。

生涯

福井藩の槍術師範の長男として福井市に生まれる。福井中学を卒業後、1895年に陸軍士官学校を卒業。歩兵少尉に任官し、歩兵第7連隊に配属される。

日露戦争では歩兵第35連隊の中隊長として出征。旅順攻囲戦、奉天会戦で戦功を挙げた。その後も順調に昇進し、1917年には陸軍歩兵大佐に進級。歩兵第59連隊長としてシベリア出兵に従軍した。

1921年に予備役に編入され、福井市に帰郷。市議会議員や社会教育会長、在郷軍人会分会長などの公職を務め、地域社会に貢献。「松尾の伝さん」として親しまれた。

二・二六事件と死

妻の稔穂は岡田啓介の妹であり、岡田が首相に就任すると、松尾は秘書官事務取扱として首相官邸に住み込み、岡田を支えた。

1936年2月26日、二・二六事件が発生。反乱軍が首相官邸を襲撃し、松尾は岡田と間違われ、銃撃を受け死亡。享年64歳。その死は、義兄である岡田首相の身代わりとなったものとして、人々に深い悲しみと感動を与えた。

岡田は松尾の死について、深い謝意を表明している。

遺徳

松尾の功績を称え、母校である福井市旭小学校には胸像が建立された。また、福井駅東口広場には岡田啓介の銅像と共に移設され、現在もその姿を見ることができる。

毎年、命日である2月26日には、松尾の胸像の前で献花祭が執り行われている。

旭小学校の公式サイトでは、児童向けに松尾と岡田の物語が紹介されている。

栄典

1895年（明治28年）11月15日 - 正八位
1897年（明治30年）12月15日 - 従七位
功四級金鵄勲章
勲三等
昭和11年（1936年）2月26日 - 従四位

親族

妻：松尾稔穂（岡田啓介の妹）
長男：松尾新一（陸軍大佐、東京ピアノ工業創業者）
長女：瀬島清子（瀬島龍三の妻）
孫：松尾文夫（ジャーナリスト、元共同通信社ワシントン支局長）
孫：松尾友矩（東洋大学学長、東京大学工学部教授)
孫：松尾武（演出家、NHK専務理事・放送総局長）
弟：西邨次郎（陸軍歩兵中佐）


松尾伝蔵は、軍人として、また地域社会の貢献者として、そして何よりも、義に厚い人物として、その名を歴史に刻んでいる。

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