松島局

松島局（まつしまのつぼね）とは

松島局は、江戸時代中期に生きた女性で、第10代将軍・徳川家治の乳母を務め、大奥で大きな影響力を持った人物です。生没年は宝永6年（1709年）から安永2年（1773年）とされていますが、その生涯には不明な点が多く、謎に包まれています。父は桜井兼供とされていますが、本名も明らかになっていません。

生涯

幼少の頃、中御門天皇の女御である近衛尚子に仕えた後、将軍世子であった徳川家重の婚約者、増子女王に仕えるようになりました。享保16年（1731年）に江戸城へ下り、元文2年（1737年）には家重の嫡男である竹千代（後の徳川家治）の乳母として、西の丸御殿に入りました。

延享2年（1745年）に家重が将軍に就任すると、松島局も将軍付きの上臈御年寄として本丸御殿へ移り、大奥での影響力を増していきます。宝暦10年（1760年）に家治が10代将軍に就任した後も、引き続き上臈御年寄として大奥を取り仕切りました。

家治の将軍就任から明和9年（1772年）までの間、松島局は長らく筆頭老女として大奥に君臨し、絶大な権力を振るいました。しかし、安永3年（1774年）からは、同じく将軍付きの上臈御年寄であった高岳が筆頭となり、松島局は表舞台から姿を消しました。生没年や墓碑もはっきりとは分かっていません。

逸話

松島局は、その権力を背景に、様々な策謀を巡らせた人物としても知られています。前将軍・家重の御次であったお知保の方を、老中・田沼意次と共謀して家治の側室に推薦したとされています。さらに、大奥の女中であったお品の方を養女とし、同じく側室に推薦したとも伝えられています。お品の方は、家治の正室である五十宮倫子が京都から江戸へ下向する際に随行した女中でした。松島局や田沼派の権力拡大を危惧した御台所付きの上臈御年寄・広橋が、お品を松島局の養女としてから側室に差し出したという説もあります。

これらの逸話から、松島局が単なる乳母という立場を超え、大奥における政治的な役割を担っていたことが伺えます。

松島局が登場する作品

松島局は、その特異な立場と、権謀術数に長けた人物像から、様々な作品で描かれています。

テレビドラマ

大奥（1983年・関西テレビ）：乙羽信子が演じました。
大奥（2024年・フジテレビ）：栗山千明が演じました。

テレビ番組

日本史サスペンス劇場（2008年、日本テレビ）：川崎あかねが演じました。

参考文献

雲村俊慥『大奥の美女は踊る』（PHP研究所、2006年）
* 高柳金芳『大奥の秘事』（雄山閣、2003年）

これらの参考文献を通して、松島局の生涯や大奥での役割について、より深く知ることができます。

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