松崎武吏

松崎武吏（まつざき たけし）氏は、1971年生まれの日本の漫画雑誌編集者です。現在はウェブコミック媒体である『ガンガンONLINE』の編集長を務めていますが、かつてはスクウェア・エニックス（旧エニックス）が発行する少年漫画雑誌『月刊少年ガンガン』の編集長を務めていました。

彼の編集者としてのキャリアは、1994年にアルバイトとして『ドラゴンクエスト4コママンガ劇場』の作品選考に関わったことから始まったとされています。この時期は、後に代表作の一つとなる『魔法陣グルグル』が初めてアニメ化され、放映されていた頃と重なります。

編集者としては、増田晴彦氏による日本神話モチーフのモンスター漫画『スサノオ』を担当し、特に雑誌掲載時の斬新かつ挑発的なアオリ文（例：「世界最強神話昇天」を「ごあいどくありがとう」と読ませるなど）で大きな話題と議論を呼びました。他にも、夜麻みゆき氏の『刻の大地』、大清水さち氏の『TWIN SIGNAL』、吉崎観音氏の『ドラゴンクエストモンスターズ+』、岸本聖史氏の『666〜サタン〜』、水無月すう氏の『私の救世主さま』、真壁太陽氏（原作・構成）と壱河柳乃助氏（作画）による『ブレイド三国志』など、多くの人気作品を手がけています。また、当時の兄弟誌『月刊少年ギャグ王』で連載されていた『ドラゴンクエスト ヴァーチャルバトラー仁』や『ドラゴンクエスト 天空物語』、『YAT安心!宇宙旅行』なども担当しました。

2001年9月には『月刊少年ガンガン』の編集長に就任。これは、前編集長の飯田義弘氏が降板した後、一時的に発行人の田口浩司氏が編集長を兼任していた期間を経てのことでした。松崎氏が指揮を執るようになった『ガンガン』は、それまでの「エニックス系」と呼ばれる、旧『月刊コミックブレイド』につながるような独特な世界観を持つ作品の傾向を残しつつも、新たな方向性を模索しました。

誌面においては、『円盤皇女ワるきゅーレ』や『ながされて藍蘭島』といった美少女キャラクターが登場する作品を導入・強化する一方で、『マテリアル・パズル』や『女王騎士物語』のような少年誌の王道ともいえるファンタジー作品を拡充しました。さらに、『王様の耳はオコノミミ』『新体操舞技』など、これまでの『ガンガン』にはあまり見られなかったジャンルにも積極的に挑戦しています。「目標はメジャーな少年漫画誌です」とインタビューで公言したことからも分かるように、その編集方針は概して、より幅広い少年層を意識した誌面づくりを推し進める傾向が見られました。また、外部の有力コンテンツとの連携を深めたことも特徴です。『ひぐらしのなく頃に 暇潰し編』や『精霊の守り人』、『とある魔術の禁書目録』といった、他社作品やメディアミックス企画とのタイアップコミカライズを多く掲載しました。

人物としては、1994年に入社し、1998年には『ガンガン』のデスクを務めています。編集長就任当初は、日焼けした肌に金髪、アロハシャツという、従来の編集者のイメージとはかけ離れた個性的な外見で、読者コーナーや取材漫画に度々登場しました。そのユニークな容姿やキャラクターから、読者からは「変集長」という愛称で親しまれたといいます。担当作品の一つである『私の救世主さま』の外伝にも、松崎氏をモデルにしたと思しき人物が登場し、ユーモラスに描かれたエピソードが存在します。

現在も『ガンガンONLINE』編集長として、漫画業界の一線で活躍を続けています。

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