松平信復

松平信復（まつだいら のぶなお）

松平信復は、江戸時代中期の大名であり、遠江浜松藩の第2代藩主、後に三河吉田藩の初代藩主となりました。大河内松平家の一員で、松平伊豆守家5代目にあたります。

生涯

享保4年（1719年）4月4日、浜松藩初代藩主であった松平信祝の長男として、江戸の谷中下屋敷にて誕生しました。生母は側室でしたが、正室に子がなかったため、間もなく嫡子となります。享保15年（1730年）に「信復」と名乗り、享保18年（1734年）には従五位下・左衛門佐に叙任されました。

延享元年（1744年）6月4日、父の遺領7万石を継ぎ、6月10日には伊豆守に改めます。寛延2年（1749年）10月15日には、浜松から吉田へと転封されました。藩主として、宝暦2年（1752年）には藩校「時習館」を設立し、藩士の教育に力を入れています。明和5年（1768年）8月頃から腫物を患い、江戸から医師を招いて治療にあたりましたが、病状は回復せず、同年9月19日に吉田城にて50歳で亡くなりました。

人物

父である信祝は教育熱心であり、荻生徂徠の弟子である三浦竹渓を招聘し、信復の教育係としました。竹渓に師事した信復は、学問を非常に好み、詩歌や絵画、古楽の研究、横笛の演奏など、芸術の分野で優れた才能を発揮しました。一方で、幕府老中として享保の改革を担った父とは対照的に、幕政への意欲はあまり示さなかったとされています。

信復が亡くなった際には、領民の中から棺の搬送を希望する者が現れ、庄屋や人足たちが参加しました。この出来事は、信復が領民を大切にする政治を行っていたことを示すエピソードとして知られています。

系譜

父母
父：松平信祝
母：側室 小林氏（清涼院）
側室
蘭、岸田氏（国香院）
登利、金田氏
折江、小林氏
子女
某
松平信礼（次男） - 母は国香院
某
松平信正（四男） - 母は国香院
本庄道揚（五男） - 母は登利
松平壬次
遠藤胤富（七男） - 母は折江
振（池田政香室）
悦（鍋島直益室）
元（大久保教和の養女）

参考文献

* 『豊橋市史』第2巻・第6巻

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