松平信礼

松平信礼は、1737年に三河吉田藩初代藩主である松平信復の次男として江戸で生まれました。幼名は信礼と名乗り、父の正室がいなかったため、事実上の長男として扱われました。1751年には将軍家重に御目見えし、父が吉田にいる間は名代として公務をこなしました。

同年、従五位下・甲斐守に叙任され、1762年には駿河田中藩主本多正珍の養女である芳姫と結婚しました。1768年、父の病状悪化の知らせを受け、初めて吉田へ向かいましたが、それが最初で最後の国入りとなりました。父の死後、家督を相続し、伊豆守に改めました。

1769年には藩主として初めての帰国が許されましたが、病弱のため、3度も延期願を出し、その間に奏者番に任ぜられたため、帰国は実現しませんでした。1770年、将軍の紅葉山参詣の際に御鏡餅役を務めたものの、その後は病に伏せ、登城もままならず、同年6月に34歳で亡くなりました。

信礼は、父と同様に三浦竹渓に学問を師事し、武芸にも励みました。特に射撃の腕前は優れていたと伝えられています。また、古楽にも関心を持ち、多くの楽書を収集しました。

系譜

父母
父: 松平信復
母: 蘭（側室）、岸田氏、国香院
正室
芳姫 - 本多正珍の養女、黒田直純の娘
子女
松平信明（長男） - 生母は芳姫
杉浦正直（次男） - 生母は芳姫
娘
静（秋田倩季室）
五百
禎（加納久堅の養女、加納久周室）
鶴年（松浦清室）
品（黒田直英室）
喜鶴（永井直進室）

参考文献
『豊橋市史』第2巻・第6巻

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