松平宗衍

松平宗衍（まつだいら むねのぶ）：波乱に満ちた松江藩主の生涯

松平宗衍は、江戸時代中期に生きた大名であり、出雲国松江藩の第6代藩主です。文化人との交流や奇抜な逸話など、その生涯は様々な逸話に彩られています。

生涯

享保14年（1729年）に5代藩主・松平宣維の長男として生まれました。幼名は幸千代。父の死後、わずか2歳で家督を継ぎますが、幼少のため、福井、明石、前橋といった越前松平家の一族が後見人となり、藩政は家老による合議制で行われました。

藩主となってからの宗衍は、藩政改革に乗り出します。延享4年（1747年）には家老による合議制を廃止し、藩主親政を開始。「御趣向の改革」（延享の改革）と呼ばれる積極的な財政振興策を打ち出しました。中老の小田切尚足を補佐役に登用し、様々な政策を実行しましたが、相次ぐ天災や改革に対する反対派の勢力が増したため、宝暦2年（1752年）に改革は停止され、小田切尚足は失脚しました。

明和4年（1767年）には、財政窮乏の責任を取り、次男の治郷に家督を譲って隠居しました。隠居後は奇行が目立つようになり、様々な逸話が残されています。天明2年（1782年）に54歳で死去し、当初は天徳寺に葬られましたが、後に月照寺へ改葬されました。

御趣向の改革

宗衍が主導した「御趣向の改革」は、藩財政の再建を目指したものであり、小田切尚足が記した『報国』には、40箇条にわたる政策が記されています。主な政策としては、以下のようなものがあります。

資金調達策
才覚: 大坂や京都の金融業者からの融資
泉府方: 藩営の金融機関を設立
義田方: 年貢を先納した場合の免税制度
新田方: 新田開発による収入増
産業振興策
木苗方: 特産品（ハゼノキ、薬用人参など）の栽培を奨励
木実方: ハゼの実から和蝋燭を製造し専売
釜甑方: 鉄製品を製造し専売
文教政策
文学所の開設: 学問の振興
文明館の設立: 藩校の設立

これらの政策は、一部成功を収めたものの、資金不足や債務超過により頓挫しました。

人物・逸話

隠居後の宗衍は奇行が多かったことで知られています。

色白の美しい女性の背中に刺青を彫らせて鑑賞した。
妖怪やお化けの絵を描いた化け物部屋で過ごした。
参会者全員が裸で茶を飲む裸茶会を開催した。
工藤平助をはじめとする文化人との交流があった。

これらの逸話は、宗衍の個性的な人物像を物語っています。

松平宗衍は、藩政改革に尽力した一方で、奇行が多かったことでも知られる人物です。その生涯は、波乱に満ちたものであり、様々な逸話が残されています。

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