松平定昭

松平 定昭の生涯

松平定昭（まつだいら さだあき）は、江戸時代後期に活躍した大名であり老中でもあります。彼は伊予国松山藩の第14代藩主で、また知藩事としても知られています。松平家の歴史において重要なポジションを占める彼の生涯は波乱に満ちていました。

幼少期からの成長

定昭は弘化2年（1845年）11月9日、伊勢国津藩主である藤堂高猷の五男として誕生しました。母親は側室の橋本氏の娘であり、幼名は錬五郎と名付けられました。彼の育ちは決して平坦ではありませんでしたが、特にその後の養子縁組によって、彼の運命は大きく変わることになります。

安政6年（1859年）、定昭は伊予松山藩の第13代藩主である松平勝成の養嗣子となります。ここから彼は正室である清亮院殿（11代藩主松平定通の娘）に育てられることになります。このような環境が彼の将来にどのように影響を与えたのかを考えると、非常に興味深い事例となります。

政治的なキャリア

定昭は万延元年（1860年）、従四位下・式部大輔として叙任され、官職に就くことになります。彼はさらに翌年には侍従に昇進し、1866年には左近衛権少将にもなります。この間、彼は養父である勝成に従い、京都での警護や長州征討など重要な役割を果たしました。

1867年9月22日に家督を譲られ、松山藩主に就任します。その翌日、わずか22歳という若さで老中にの上座にも就任することができました。松平家としては久しぶりの老中就任であり、その若さや背景が注目を集めました。しかし、大政奉還の影響で、彼は老中の職務を辞することになります。

戦乱とその後

1868年1月、鳥羽・伏見の戦いに関与したため、朝廷から朝敵として名を挙げられ、蟄居の命を受けることになります。この結果、彼はすべての官位を剥奪され、養父の勝成が再勤することとなりました。しかし、同年中に蟄居が解かれ、明治天皇に拝謁し、従五位に叙せられることになります。

明治4年（1871年）、再び家督を相続し知藩事に任じられますが、半年後に廃藩置県によりその地位を失ってしまいました。定昭はその後、1872年7月19日に東京の久松邸で28歳の若さで逝去します。彼の遺体は神式により東京の三田済海寺に土葬され、その後忠敏公として追諡されました。さらに、遺髪が松山祝谷常信寺に送られ、彼の記憶は長く留められました。

家族と後継

定昭の家族についてですが、彼は正室に邦を迎えました。邦は松平勝成の養女で、定昭の死後もその家系は続いていきます。定昭には子がなかったため、遺言により旧旗本の松平勝実の三男である久松定謨を養嗣子として迎えました。こうして松平家の歴史は続いていくのです。

結論

松平定昭の短い一生は、彼が活躍した時代には多くの出来事が重なりました。若耄老中としての政治活動や波乱に満ちた戦乱の影響、そして家族のつながりは、彼自身の歴史を語るうえで重要な要素です。彼の名は今なお語り継がれ、松平家の一部としてその足跡を残しています。

もう一度検索