松平忠倶

松平忠倶（まつだいら ただとも）

松平忠倶は、江戸時代前期に活躍した大名であり、遠江国掛川藩の第2代藩主、後に信濃国飯山藩の初代藩主を務めました。桜井松平家の9代目にあたり、官位は従五位下・遠江守です。

生涯

寛永11年（1634年）、掛川藩主・松平忠重の長男として誕生しました。寛永16年（1639年）に父が死去したため、わずか6歳で家督を継ぐことになりました。しかし、幼少であったため、すぐに信濃国飯山藩への移封を命じられ、同年7月9日に将軍徳川家光に拝謁しました。この時、帝鑑間伺候という席次が与えられ、以後、桜井松平家の慣例となりました。

正保3年（1646年）には従五位下・遠江守に叙任され、万治元年（1658年）から大坂加番を歴任し、その後も要職を歴任しました。藩主として初めて領国に入ったのは承応2年（1653年）のことでした。寛文4年（1664年）には領知朱印状が下されました。

藩政においては、播磨国出身の野田喜左衛門（正満）を登用し、千曲川の治水工事や灌漑水路の開削、新田開発などを積極的に行い、飯山藩の基礎を築きました。天和2年（1682年）には越後高田領の検地業務を担当するなど、藩主としての責務を果たしました。

元禄8年（1695年）には、4回目の大坂加番に任じられましたが、任地で病に倒れ、元禄9年（1696年）5月26日に大坂で死去しました。享年63歳でした。

後継者については、嫡男の忠継が病によって元禄7年（1694年）に廃嫡されたため、忠継の長男である忠敏を後継者としましたが、忠敏も早世したため、忠敏の弟である忠喬が跡を継ぎました。

系譜

父：松平忠重
母：木下延俊の娘
正室：松平定行の養女（阿部重次の娘）
長男：松平忠継（母は正室）
その他の子女
二男：八郎（早世）
三男：小次郎（早世）
養子女
養女：織田信勝の娘（水野重上（紀州藩家老）の妻）
養女：織田信勝の娘（喜連川昭氏の妻）
* 養女：水野良安（＝重上）の娘（田中定賢の妻）


二男と三男の母親については「某氏」としか記録されていません。養女のうち2人の実父である織田信勝は、忠倶の姉の夫にあたります。


また、『寛政譜』には、養女の1人は「水野土佐守重上」に嫁いだと記され、別の養女は「水野土佐守良安」の娘と記されていますが、重上と良安は同一人物（重上の初名が良安）であることが分かっています。


松平忠倶は、幼少にして藩主となり、その後の藩政において、治水工事や新田開発など、多岐にわたる政策を実行し、飯山藩の基礎を築きました。また、大坂加番を複数回務めるなど、幕府からの信頼も厚かったことが伺えます。彼の業績は、後の飯山藩の発展に大きく貢献しました。

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