松平忠実

松平忠実（まつだいら ただざね）は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけての武将・旗本であり、五井松平家7代当主です。官位は従五位下・土佐守。下総国海上郡の飯沼陣屋（現在の千葉県銚子市）を居所とし、加増を受けて6000石の大身となりました。

生涯

6代当主・松平伊昌の長男として誕生。母は伊昌の正室である酒井忠次の娘です。慶長3年（1598年）に元服し、徳川秀忠から偏諱を賜って忠実と名乗りました。

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは、父・伊昌に代わって出陣。慶長13年（1608年）、従五位下土佐守に叙任されました。慶長19年（1614年）の大坂冬の陣の際には郡山城の警備にあたり、翌年の大坂夏の陣の際には伏見城の警備を担当しました。

元和2年（1616年）2月、病床にあった徳川家康に召されて駿府城に赴き、密事（内容については詳細不明）を受けた後、伏見城に戻り3年間在城したとされています。その後は所領に帰り、年頭ごとに参府したとのことです。

『寛政譜』によれば、寛永4年（1627年）に知行地を海上郡内に移され、徳川秀忠から黒印状を賜ったと記されています。天正18年（1590年）に伊昌が下総国印旛郡内に2000石の所領を得ており、『寛政譜』の記述に従えばそこからの移封となりますが、実際には文禄元年（1592年）の時点で伊昌は海上郡銚子の飯沼陣屋に移っています。

寛永9年（1632年）に大番頭となり、寛永12年（1635年）には海上郡内で4000石を加増され、合計6000石を領しました。

慶安5年8月23日（1652年）、京の二条城の守衛中に没しました。墓所は下総国海上郡岡野台村の等覚寺にあります。この寺はもともと「成就院」という名でしたが、忠実の院殿号によって改称されました。等覚寺では忠実を中興開基としており、忠実以後代々の墓所があります。

家督は長男の伊耀が継ぎました。

系譜

『寛政譜』には、以下の順で子女が記録されています。

1. 松平伊耀（忠宜） - 家督を継承
2. 松平忠尚 - 別家を立てる
3. 松平元成 - 徳川家光に拝謁した記録があるが、その後については不明
4. 女子 - 松平忠房養女
5. 女子 - 松平康盛室
6. 女子 - 坂井成令室

参考文献

『寛政重修諸家譜』巻第二十七
『寛政重修諸家譜 第一輯』（国民図書、1922年）
『千葉県教育振興財団研究紀要 第28号 房総における近世陣屋』千葉県教育振興財団、2013年

注釈

記事中に登場する人物の官位や役職は、当時の社会における地位を示すものです。
* 参考文献として挙げられている資料は、本記事の作成にあたり参考にしたものです。

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