竹内敬持

竹内敬持（たけのうち たかもち）

竹内敬持は、江戸時代中期の神道家であり、尊王論者として知られています。通称を竹内式部といい、号を正庵、羞斎などと称しました。1712年に越後国に生まれ、1767年に没しました。医師の竹内宗詮を父に持ち、幼少の頃から学問に励んだとされています。

学問と教育

1728年頃、竹内式部は京都へ上り、山崎闇斎の門下である玉木正英、松岡仲良に師事し、儒学や垂加神道を学びました。しかし、学説上の対立から玉木が松岡を破門した際、式部も破門されています。その後、式部は家塾を開き、若い公家たちに大義名分を重んじる垂加神道の講義を始めました。最盛期には700人から800人もの弟子を抱え、その中には徳大寺公城や二条宗基といった有力な公家もいました。特に徳大寺公城は、1745年頃に式部を召し抱え、その活動を支援しました。

京都追放事件

式部の仏教排除の思想は、朝廷内で反発を招きました。特に一条道香は式部に対して不信感を抱き、武家伝奏の柳原光綱と共に、式部とその周辺について京都所司代にたびたび相談しました。式部の教えを受けた若手公家と、道香を中心とする摂家の間で、朝廷の現状に対する認識の相違が顕在化し、対立は深刻化しました。

1758年6月28日、所司代は式部を町預けとし、取り調べを開始しましたが、朝廷内部の争いに利用されることを警戒し、本格的な捜査には至りませんでした。その後、式部は京都町奉行に拘束され、若手公家たちは謹慎を命じられました。若手公家たちは、竹内の拘束と自分たちの謹慎は一条ら摂家の策謀であると主張し、その排除を訴えましたが、一条ら摂家が若手公家による摂家排除の企ての証拠を掴むと、若手公家たちは大量に処分されました。

式部の罪状は、1759年5月に「堂上の公家には講義を求められてもことわるべきであった」「四書五経ではない浅見絅斎の著書『靖献遺言』を用いた」「全体的に教え方が良くなかった」という漠然としたものでした。同年5月7日、式部は重追放の処分を受け、京都および関八州、東海道などから追放されました。

追放後と最期

追放後、式部は伊勢国宇治に移り住み、神宮の神職らに講義をするなど、以前と変わらない活動を続けました。しかし、1766年に明和事件に関与した疑いをかけられ、江戸に召喚されました。山県大弐との関係については疑いが晴れたものの、追放中の身でありながら京都に立ち入ったことが発覚し、翌1767年に八丈島へ流罪となりました。その護送途中、三宅島で病没しました。

没後の評価と顕彰

1891年12月、竹内式部は山県大弐や藤井右門と共に正四位を贈られました。翌1892年6月には、上野公園で贈位を祝う祭典が行われました。また、式部の出生地である新潟市では、1916年に白山神社に竹内式部碑が建てられ、150年祭が執り行われました。1932年には、三宅島の墓所から分骨され、1933年に四ツ屋町（日和山墓地）に墓所が築かれました。竹内神社建立の動きもありましたが、実現には至りませんでした。

竹内式部は、その尊王思想と教育活動によって、後世に大きな影響を与えた人物として評価されています。

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