松戸公産

松戸公産株式会社

松戸公産株式会社は、千葉県松戸市に拠点を置き、主に松戸競輪場の運営を担う日本の企業です。現在は、株式会社東京ドームの１００％子会社として活動しています。

その歴史は、松戸競輪場の開設に先立つ１９４９年（昭和２４年）に始まります。地元企業や松戸市などの共同出資によって「松戸競輪株式会社」として設立され、競輪場の用地取得や建設が進められました。そして、計画通り１９５０年（昭和２５年）４月１９日に松戸競輪場が正式にオープンしました。

競輪事業を核としながらも、同社は多角化にも乗り出しました。１９５９年（昭和３４年）４月には、松戸駅の西側に「輝竜会館大映劇場」を建設し、映画興行事業に参入しました。当初は大映系列の作品を上映していましたが、その後「松戸輝竜会館」と改称し、東宝系列の劇場となりました。さらに、同敷地内に洋画を専門とする「松戸輝竜会館バンビ劇場」も併設するなど、映画事業を拡大しました。当時、松戸駅周辺には戦前から続く他の系列の映画館も存在し、映画館が集まるエリアでした。

会社の名称が現在の「松戸公産株式会社」に変更されたのは、１９６６年（昭和４１年）のことです。映画館事業はその後も展開され、１９８７年（昭和６２年）３月には輝竜会館の敷地に新劇場「輝竜３」が増設され、既存の２館はそれぞれ「輝竜１」「輝竜２」と名前を変えました。しかし、時代の変化と共に映画事業からの撤退が進められ、１９９９年（平成１１年）には輝竜会館の３館全てが閉館し、映画館経営から撤退しました。

企業体制の変化も進む中、１９９０年（平成２年）には、かつて後楽園競輪場を運営していた後楽園スタヂアム（現在の株式会社東京ドーム）から出資を受け入れました。その後、２００４年（平成１６年）には一度JASDAQ市場に株式を公開しましたが、同年に株式会社東京ドームとの株式交換により、東京ドームの完全子会社となり、上場廃止となりました。東京ドームが松戸公産を傘下に収めた背景には、同社が長年培ってきた競輪場運営の深いノウハウを活用し、将来的な後楽園競輪場の再開に備えるという戦略があったとも言われています。

競輪関連事業の展開は、場外車券売場にも及びます。２００３年（平成１５年）には、宮城県大和町に場外車券売場「サテライト大和」を開設・運営するため、子会社として東日本サテライト株式会社を設立し、場外事業に進出しました。また、２００８年（平成２０年）には船橋オートレース場内に設置された場外車券売場「サテライト船橋」の施設運営業務などを受託しています。ただし、サテライト大和については、２０２３年（令和５年）３月末をもって事業を終了する予定となっています。

この間、経営資源の最適化も行われ、２０１３年（平成２５年）には子会社であった東和工建株式会社を日成ビルド工業株式会社に売却しました。

現在の松戸公産株式会社は、主業務エリアである松戸市で、競輪場運営のほか、ショッピングモールの管理なども手掛けています。さらに、松戸市外では、東京都新宿駅周辺にもビルを所有しており、不動産事業も展開しています。

特に松戸競輪場の運営に関しては、開設当初から深いレベルで関与してきました。一般的なケースでは主催者である自治体が手配することが多い、投票券の発売や警備に関わる従業員も、同社が自社で確保するという体制をとっており、他の施設保有会社と比べても運営への関与度が非常に高いのが特徴です。この長年培われた運営ノウハウが高く評価され、２００６年（平成１８年）４月からは松戸市より、競輪場の包括的な運営業務委託を受けるに至っています。

松戸公産株式会社は、競輪事業を中核に置きつつ、過去には映画興行、近年は場外車券売場運営や不動産事業など、時代の変化に対応しながら事業領域を柔軟に展開し、発展を遂げてきた企業です。

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